おはようございます。
今日は、地方公務員の窃盗に基づく懲戒免職処分等取消請求に関する裁判例を見てみましょう。
東宇陀環境衛生組合ほか事件(奈良地裁平成29年3月28日・労判ジャーナル64号24頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の技能労務職員であったXが、公務外非行(窃盗)を行ったことなどを理由に、Y社から懲戒免職処分を受け、また、これに伴い奈良県市町村総合事務組合管理者から退職手当支給制限処分を受けたことから、本件懲戒免職処分は重大な手続違反や事実誤認に基づくものであって違法であり、これを前提とする本件退職手当支給制限処分も違法であるなどと主張して、上記各処分の取消しを求めた事案である。
【裁判所の判断】
懲戒免職処分は違法
→請求認容
【判例のポイント】
1 確かに、Xは、タイヤ窃盗を理由として3箇月の停職処分を受けたにもかかわらず、停職期間満了後4箇月ほどしか経たないうちに2度にわたり景品応募シールを盗み、さらにその半年後に再び同シールの窃盗(本件非行)に及んでいるのであって、本件非行には常習性が認められ、また、その動機も短絡的で、再犯のおそれも否定できず、Y社の職員としての信用を重ねて失墜させたものとして、厳しい非難は免れないというべきであるが、Xの窃盗行為は上記の限度にとどまっており、その頻度や回数等に照らし、常習性の程度が特に著しいとまではいえず、そして、Xは、逮捕直後から事実を認めて被害者に謝罪し、示談も成立しているのであり、Y社に対しても、謝罪文を提出し、事情聴取の際に反省の弁を述べるなど、本件非行について反省の態度を示していたこと等から、Y社が懲戒免職処分を選択したことは、その裁量権を逸脱又は濫用したものというほかなく、本件免職処分は違法というべきである。
・・・ですって。
このケースで解雇しない会社があるでしょうか・・・。
たまにこういう裁判例を見ると、とても違和感を感じます。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。