Monthly Archives: 8月 2017

本の紹介699 シンプルに考える(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
シンプルに考える

LINEの森川元社長の本です。

本の中に何度も出てくる「何が本質か?」という考え方はとてもシンプルでわかりやすいです。

あれもこれもと難しく考えないで、できるだけシンプルに考えることの大切さを説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

かつての僕が思い描いていたような『まっすぐな道』など、ただの幻想。むしろ、未来はわからないと思って生きないと危険です。特に、現代のように変化の激しい時代には、『いつ何が起きるかわからない』と常に緊張感をもっていなければならない。だからこそ、感性が研ぎ澄まされていく。変化に備えて準備をする。そして、変化が起きたときには、機敏に対応する。そんな野性的な生命力が養われるのです。逆に『まっすぐな道』を信じたり、誰かが未来を教えてくれると期待して、その現実と向き合わずに、日々を漫然と生きるのがいちばん危ないのです。」(81頁)

少子高齢化、人口減少に歯止めがかからない日本で、昭和の頃のような高度経済成長期と同じ価値観を持つことはもはや不可能です。

5年後のこともろくに予想できないのに、人生に「まっすぐな道」を思い描くことは時代錯誤です。

どうなるかわからない環境で、何をすべきか、何をすべきでないか。

日々を漫然と生きるのがいちばん危ないと著者が述べているとおり、日々、準備を怠らないことがとっても大切なのでしょう。

1日1時間を準備にあてるのです。

それを毎日続けられれば人生は変わります。

不当労働行為171 業務委託拡大は義務的団交事項にあたるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、調理職場の業務委託拡大等を議題とする団交申入れに対して、義務的団交事項に当たらないとして応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。

国立病院機構小倉医療センター事件(福岡県労委平成28年10月14日・労判1154号94頁)

【事案の概要】

本件は、調理職場の業務委託拡大等を議題とする団交申入れに対して、義務的団交事項に当たらないとして応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、本件議題のうち、業務委託の範囲拡大の是非は経営事項であり、義務的団交事項には当たらないと主張する。しかし、事業譲渡や業務の下請け化のような経営に関わる事項は、労働者の労働条件と密接に関連することが多い。したがって、少なくとも、そのような経営に関わる事項の実施が、労働者の現在又は将来の労働条件に影響を及ぼす具体的な可能性がある場合には、これも義務的団交事項となると解することが相当である。
・・・したがって、「調理職場に就いている再雇用・非常勤職員について来年度も調理師として雇用し、調理職場の委託拡大を行わないこと」という本件議題は、調理業務の外部委託という経営に関わるものではあるが、義務的団交事項に当たると認められる。

気持ちはわかりますが、義務的団交事項であることは、過去の救済命令を見れば明らかです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。