おはようございます。
今日は、調理職場の業務委託拡大等を議題とする団交申入れに対して、義務的団交事項に当たらないとして応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。
国立病院機構小倉医療センター事件(福岡県労委平成28年10月14日・労判1154号94頁)
【事案の概要】
本件は、調理職場の業務委託拡大等を議題とする団交申入れに対して、義務的団交事項に当たらないとして応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は、本件議題のうち、業務委託の範囲拡大の是非は経営事項であり、義務的団交事項には当たらないと主張する。しかし、事業譲渡や業務の下請け化のような経営に関わる事項は、労働者の労働条件と密接に関連することが多い。したがって、少なくとも、そのような経営に関わる事項の実施が、労働者の現在又は将来の労働条件に影響を及ぼす具体的な可能性がある場合には、これも義務的団交事項となると解することが相当である。
・・・したがって、「調理職場に就いている再雇用・非常勤職員について来年度も調理師として雇用し、調理職場の委託拡大を行わないこと」という本件議題は、調理業務の外部委託という経営に関わるものではあるが、義務的団交事項に当たると認められる。
気持ちはわかりますが、義務的団交事項であることは、過去の救済命令を見れば明らかです。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。