おはようございます。
今日は、雇止め無効地位確認と社宅不法占拠に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。
エリクソン・ジャパン事件(東京地裁平成28年12月22日・労判ジャーナル61号14頁)
【事案の概要】
本件は、本訴において、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結していた元従業員Xが、Y社による雇止めが無効であると主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、雇用契約に基づく賃金の支払及び賞与等の支払を求め、反訴において、Y社が、Xに対し、X・Y社間の雇用契約と同時になされた社宅の貸与契約が終了したにもかかわらず、XがX・Y社間の一部和解によるまで同社宅を占有権原のないまま不法に占拠したとして、上記社宅の貸与契約の終了に基づき、損害賠償(872万5000円)の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
雇止めは有効
XはY社に対し872万5000円を支払え
【判例のポイント】
1 XがY社において担当する職務が永続性・継続性を有する基幹業務といえないことを前提に、X・Y社間の有期雇用契約が1年間の期間を定めてわずか1回しか更新されていないことに鑑みれば、同契約が、期間の定めのない契約と実質的に同視できるものになったとは到底いい難く、本件雇用契約が労働契約法19条1号に該当するとは認められない。
また、その職務自体が前記のとおり永続性・継続性を有する基幹業務とはいえないこと、適正な手順を踏んでXに対して本件雇用契約が再更新されない旨が伝えられたこと等からすると、本件雇用契約が再更新されるものとXが期待することについて合理的な理由があるとも認め難く、同条2号に該当するとも認められないから、本件雇止めは有効であって、本件雇用契約は平成25年2月28日の経過をもって期間満了によって終了したものと認められる。
2 本件雇用契約が平成25年2月28日の経過をもって期間満了によって終了したことに伴って、本件社宅契約も同日の経過をもって終了したものと認められ、Xは、Y社に対し、平成25年3月1日以降、本件社宅契約の終了に基づき、本件社宅を明け渡す義務を負っていたものであるが、・・・Xは同義務に反して、これを何らの権原なく占有し続けたものといえ、そして、その間の、Y社の賃料及び更新料相当損害金は、合計872万5000円であると認められる。
雇止めが有効と判断されたため、上記判例のポイント2の判断となっています。
えらい金額になっていますね・・・。
このようなリスクがあることから、念のため社宅から退去しておくことも検討すべきかと思います。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。