不当労働行為169 労組加入を理由とする契約終了の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、労組加入を理由として契約を終了したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。

明石被服興業事件(山口県労委平成28年12月8日・労判1152号90頁)

【事案の概要】

本件は、労組加入を理由として契約を終了したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、平成27年4月15日(Xが組合に加入する前)に、Xを含めたデサント業務従事者全員に対し、・・・デサント業務を同年7月31日で終了すると通知したのであるから、これにより同年7月31日までの契約継続を約束していることは明らかである。
それにもかかわらず、Y社がXと同様な立場にある非組合員3名については同年7月31日までの契約を維持している一方で、同年5月31日をもってXとの本件契約を終了すると主張し、その労務提供を禁止したことは、組合員であるXに対する不利益取扱いである。

2 デサント業務従事者のうち、平成27年8月以降、G作業所でパート採用された2名は、当該応募手続きを経たのに対し、Xは、工場長らから、応募の意向があれば手続きを要すること及び応募者多数の場合、その中から選考することになる旨の説明等は受けたが、採用確約の言質までは得られず、Xが応募を諦めたため、採用に至らなかったという経過は明らかであり、Y社が組合員であるXを不利益に取り扱ったものとは認められない
また、Y社がXのみを特別扱いにするなどの求めに応じることなく優先的に扱わなかったからといって、その対応が不当なものであるとはいえない。

上記命令のポイント1のように組合員と非組合員の取扱いに明らかな区別が認められる場合、その区別を合理的に説明できなければ不当労働行為となります。

注意しましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。