Monthly Archives: 5月 2017

本の紹介672 人生ドラクエ化マニュアルⅡ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人生ドラクエ化マニュアルII

第2弾ですね。

ドラクエ世代は、タイトルだけで買ってしまう本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『見栄、世間体』などというものは自分の妄想、自意識過剰の産物以外の何ものでもないのだ。つまり、『見栄、世間体』は幽霊と同じで、この世に実在していない、ということだ。それにもかかわらず、この世に存在していない『見栄、世間体』の視線に怯えて、ヤリタイコトを諦めるなど少し痛い人のやることなのだ。」(100頁)

判断の第一基準を見栄や世間体としている人は、この本では「少し痛い人」と評されています(笑)

本当はやりたくないんだけど、世間体もあるし・・・みたいな感じですね。

この本でも述べられているとおり、そんなもんは自意識過剰以外の何ものでもありません。

やりたいようにやればいいし、生きたいように生きればいいのです。

自分が思っているほど他人は自分のことなんて興味がありませんから。

見栄や世間体だけで生活するなんて窮屈で退屈でちっとも楽しくありません。

賃金131 原告請求の時間外労働割増賃金につきその半分を認めた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、原告請求の時間外労働割増賃金について、少なくとも原告主張の5割が相当等とされた事例を見てみましょう。

福星堂事件(神戸地裁姫路支部平成28年9月29日・労経速2303号3頁)

【事案の概要】

本件は、和洋菓子の製造・加工並びに販売等を主たる目的とする株式会社であるY社の従業員であったXが、Y社に対し、未払の時間外労働割増賃金294万3240円+遅延損害金、労働基準法114条に基づく付加金249万8576円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、50万3599円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、50万3599円(付加金)+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 所定の就業開始時刻前のタイムカードの打刻時間を始業時刻として主張する場合(早出残業)には、使用者が明示的には労務の提供を義務付けていない始業時刻前の時間が、使用者の指揮命令下にある労働時間に該当することについての具体的な主張立証が必要であると解するのが相当である。
・・・かえって、Xが早出残業を繰り返していたのは、Y社の業務のためではなく、Y社から貸与されている携帯電話を使ってY社の女性従業員に長時間プライベートな電話をかけるためであったことが窺われる
よって、Xが早出残業を余儀なくされていたとは認められない。

2 ・・・以上の事実のうち、XがY社に早朝出勤を命じられ、日常的に所定の始業時刻前の時間外労働を余儀なくされていたとは認められないこと、Xが昼食も運転中に採ることが常態化しており、所定の1時間休憩を取ったことがなかったとは認められないこと等を考慮すれば、Xが時間外労働をしていたことは否定できないものの、Xの主張する時間外労働の時間は相当に過大であるというべきである。
その他本件に現れた諸般の事情を総合考慮すれば、Xの時間外割増賃金は、少なくともXが主張する411万9749円の5割である205万9874円と認めるのが相当である。
Y社はXが未払残業代を請求する期間について時間外労働割増賃金として、155万6275円を支払っていることが認められるから、これを控除すると、Xの未払いの時間外労働割増賃金は、50万3599円となる。

裁判所がざっくり請求金額の半分と認定してくれています。

あくまで結果論ですので、労働者側はこのような裁判所の判断を期待することなく、具体的な主張立証をすべきであると考えましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介671 できる男は金を呼ぶ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
できる男は金を呼ぶ!  ― 金を使うな 頭を使え

船瀬俊介さんの本です。

船瀬さんの本といえば、医療や食べ物に関するテーマが多いですが、今回の本はいかに生きるべきかを説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『逆境の中には、すべて、それ相応か、それ以上の、大きな“利益の種”が潜んでいる』
ナポレオン・ヒルも、やはり『ピンチこそ、“利益”を生む』と明言しています。彼は、次のように強調しています。
『この文言は、カードに書き、それをいつもポケットに入れておきなさい』
それほど、『成功原則』つまり『大切な言葉』なのです。」(115~116頁)

必要は発明の母です。

不足や不十分さを感じたときに、単に嘆いているだけでは状況は変わりません。

決して満たされているところからは利益は生まれません。

日々の生活で感じる小さな不足、不十分さをそのまま受け流さないことが大切です。

賃金130 給与の減額に関する労働者の同意の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。明日からはゴールデンウィークですね。

また来週お会いしましょう。

今日は、退職金および減額分の賃金支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

ユニデンホールディングス事件(東京地裁平成28年7月20日・労経速2302号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対し、①雇用契約に基づき、退職金+遅延損害金の支払、②雇用契約に基づき、未払賃金+遅延損害金の支払、③在職中の苛酷な労働環境により精神的に不調に陥ったとして、不法行為に基づく慰謝料+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

 Y社は、Xに対し、1466万6667円+遅延損害金を支払え。
2 Y社は、Xに対し、896万3740円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、平成23年6月1日、Y社との間で、本件雇用契約を締結するとともに、その際、本件合意をしたと主張して、本件通知書を提出し、Y社は、Xと雇用契約を締結したが、本件合意をしたことはなく、本件通知書の被告作成部分について、文書の成立の真正を争うので検討する。
証拠によれば、本件通知書のY社の代表取締役の記名部分に押印されている印影は、Y社の総務部長印の印影と一致していることが認められ、これによれば、本件通知書の被告の記名押印部分は真正なものと推認され、したがって、民事訴訟法228条により、Y社作成部分の全部が真正に成立したものと推定される。そして、本件通知書のX作成部分は、証拠により真正に成立したものと認められるので、本件通知書は、文書全体が真正に成立したものと認められる。

2 Y社は、本件規程に基づき、本件賃金減額をした旨主張する。
そこで検討するに、使用者が、個々の労働者の同意を得ることなく賃金減額を実施した場合において、当該減額が就業規則上の賃金減額規程に基づくものと主張する場合、賃金請求権が、労働者にとって最も重要な労働契約上の権利であることにかんがみれば、当該賃金減額規程が、減額事由、減額方法、減額幅等の点において、基準としての一定の明確性を有するものでなければ、そもそも個別の賃金減額の根拠たり得ないものと解するのが相当である。
本件規程は、給与の減額について、「担当職務の見直しに合わせ、給与の見直しを行う場合がある。見直し幅は、都度決定する。」と定めているが、当該規程では、減額方法、減額幅等の基準が示されているということはできない。したがって、本件規程が、個別の賃金減額の根拠になるということはできないから、本件規程に基づく本件賃金減額は無効であると言わざるを得ない。
なお、Y社は、Xが、本件降格を受け入れ、課長職として人材開発業務に従事していたことからすれば、Xは、本件賃金減額を了解していたといえる旨主張する。しかしながら、賃金の減額に対する労働者の同意の有無については、労働者が自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも判断されるべきものと解するのが相当であるところ(最高裁昭和48年1月19日判決、最高裁平成2年11月26日判決、最高裁平成28年2月19日判決等参照)、本件において、Xが自由な意思で本件賃金減額に同意したものと認めるに足りる的確な主張立証はない

賃金や退職金の減額については、単に労働者の同意があればそれでよいということにはならないので注意しましょう。

上記最高裁の規範を前提にどのようなプロセスを踏めば有効とされるのか、顧問弁護士に相談しながら進めていくことをおすすめします。

本の紹介670 伝え方の極意(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
“トークの帝王"ラリー・キングの伝え方の極意

「ラリー・キング・ライブ」で有名なラリー・キングさんの本です。

50年間に5万人と対談した著者が、上手な会話のしかた、作法を教えてくれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

エイブラハム・リンカーンがいい例だ。1863年11月、リンカーンの有名なゲティスバーグ演説は、実は5分にも満たない短い演説だった。当日、リンカーンの前には、当時“最高の演説者”と言われていた政治家エドワード・エヴァレットが2時間に及ぶ大演説を行っている。だが、今日どちらの演説が人々の記憶に残っているかは言うまでもない。・・・私たちは、戦争や平和や国家の存亡についてスピーチをする機会はまずないが、スピーチで偉大な成功を収めた政治家から学ぶことはできる。彼らから学ぶべき最大のポイントは『簡潔に話す』ということだ。」(166~169頁)

できるだけ簡潔に伝えるということはとっても大切なことです。

話がまわりくどい人、とにかく話が長い人を好きな人はいません(笑)

特に仕事中は端的にポイントだけを伝えるようにするべきです。

とはいえ、仕事のときだけいきなりやれと言われてもできるものではありませんよね。

日頃から「結論から言う」「ポイントを押さえる」ということを意識して話す訓練をすべきですね。

あれもこれも話した挙句、「で、結局、何が言いたいのですか(苦笑)?」と言われないように日頃から心がけましょう。