退職勧奨15 違法な退職勧奨に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、違法な退職勧奨に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

碧南市事件(名古屋高裁平成28年11月11日・労判ジャーナル59号22頁)

【事案の概要】

本件は、Y社で歯科医師として勤務していたXが、病院長による違法な退職勧奨を受けて退職せざるを得なくなったと主張して、病院を運営するA市に対し、国家賠償法1条1項に基づく、約4379万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

A市はXに対して、4078万9726円(減収分にかかる損害3167万7203円、退職手当にかかる損害911万2523円)+慰謝料50万円を支払え

【判例のポイント】

1 D教授は、Xに対し、Xが本件退職勧奨を応諾しない場合には、Xの下で診療等に従事する歯科医師について後任を派遣しない事態があることを告げたのであり、Xの下で診療に従事する歯科医師が派遣されないという事態は、病院に求められている水準の歯科診療を行うことが困難となることが確実であって、病院の歯科口腔外科部長として地域医療に従事するXにとっては、重大な不利益であるといえるところ、D教授が、Xに対し、上記の不利益を告知したことについては、本件退職勧奨の諾否にかかるXの自由な意思決定を促す行為として許される限度を逸脱し、その自由な意思決定を困難とするものであると認められるから、D教授が、C病院長の依頼に基づき、C病院長による本件退職勧奨の一環として、Xに対し、本件医局の関連病院の人事に関する影響力ないし事実上の権限をもって上記の不利益が生ずると告知して、暗に本件退職勧奨を応諾するよう求めたことは、少なくとも過失によりXの自由な意思決定を侵害する不法行為にあたる。

ドクターということもあり、損害額がかなり多額に及んでいます。

解雇を避けたいがために退職勧奨をするわけですが、やりすぎるとこのような結果となってしまいますので注意しましょう。

具体的な注意事項は顧問弁護士に確認しましょう。