おはようございます。
今日は、ルート営業社員の各種手当と未払割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。
廣記商行事件(京都地裁平成28年3月4日・労判1149号91頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対して、未払時間外賃金+遅延損害金+付加金の支払いを求める事案である。
【裁判所の判断】
Y社はXに対し、587万7709円+遅延損害金を支払え
Y社はXに対し、300万円(付加金)+遅延損害金を支払え
【判例のポイント】
1 「内/外勤手当」が、どういう趣旨の手当として支給されるものかにつき、就業規則に定めがなく、他にY社の社内で周知されていたと認めるに足りる的確な証拠はない。また、X個人に限ってみても、職能給及び成果給の変動とは連動せずに一律2万円が支給されており、同手当がXが外勤業務に従事していることに由来して支払われていることはその名称から推測ができるものの、それを超えて時間外手当を補充する趣旨で支給されているとは認めるに足りる証拠はない。したがって、この点に関するY社の主張は採用できず、「内/外勤手当」も基礎賃金とするのが相当である。
2 CP手当は、午後8時から午後9時までに受注処理の当番が割り当てられたときに支払われる手当であると認められる。そして、毎日午前10時頃から配達に出発するという業務状況の下では、午後8時までに所定労働時間である8時間が経過していることが明らかであるから、CP手当は、時間外労働に対する給与として支払う趣旨であることが明確になっていると認められる。
CP手当についてなんとか固定残業代として認めてもらえましたが、「内/外勤手当」については上記のとおり、固定残業代とは認めてもらえませんでした。
固定残業制度は、今の裁判所の判断を前提とする限り、百害あって一利なしです。
リスクとリターンが全く見合っておりません。
導入を考えている社長は、悪いことは言いませんので、普通に残業代を支払うことをおすすめします。
残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。