不当労働行為168 会社が組合の要求に応じなかったことが不当労働行為にあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、労働条件の決定・変更および重要な経営施策の事前協議・同意制度にかかる協定案締結等を議題とする団交および臨時就労契約期間満了後の組合員の労働条件にかかる団交申入れに関する会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事例をみてみましょう。

島崎エンジニアリング事件(中労委平成28年10月5日・労判1148号95頁)

【事案の概要】

本件は、労働条件の決定・変更および重要な経営施策の事前協議・同意制度にかかる協定案締結等を議題とする団交および臨時就労契約期間満了後の組合員の労働条件にかかる団交申入れに関する会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 ・・・これに対し、組合は、第3回団交、第9回団交等において、会社の組合の要求には応じられないとする上記理由や上記見解に対して、何ら根拠を示して反論等を行うこともなく、一貫して、労働条件の変更は組合と協議して実施すべきであると主張して、労働条件の変更は組合と協議して実施すべきであると主張して繰り返し本件事前協議・同意制度に係る協定の締結や、上記労使合意に基づく実行体制の創設を要求するばかりであり、交渉は歩み寄ることなく、平行線をたどった
会社は、組合の本件事前協議・同意制度に係る協定の締結要求を受け入れ、あるいは、譲歩する義務まで負うものではないところ、上記経緯に照らすと、組合に対して、同要求に応じられないとする理由や見解を十分説明し、理解を求めていたのであり、合意には至らなかったものの協議は尽くされたと認められる。また、こうした会社の対応が、労使関係を否定する趣旨でなされたものと認めることはできない。
したがって、会社が、組合からなされた本件事前協議、同意制度に係る協定の締結要求に応じなかったことをもって、不誠実な対応であると評価することはできず、組合の前記の主張は採用できない。

会社は妥結義務までは負っていないため、組合の要求に応じられない場合にはその理由を合理的に説明すれば不誠実団交とは評価されません。

結局、説明をしっかりする、という責任を負っているということです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。