Monthly Archives: 3月 2017

解雇225 妊娠通知後になされた解雇の有効性(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、妊娠通知後になされた解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ネギシ事件(東京地裁平成28年3月22日・労判1145号130頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社がしたXに対する解雇の意思表示は無効である旨主張し、Y社に対し、雇用契約上の地位を有することの確認、同地位を前提とした賃金及びこれらの遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 以上のとおり、Y社が解雇理由として指摘する事実は、その事実が認められないか、あるいは、有効な解雇理由にならないものであるから、Xに対する注意・指導に関するY社の主張はその前提を欠く。
Xが就業規則40条3号、5号に該当するとは認められず、そうすると、仮に、Y社主張のとおり、本件解雇が原告の妊娠を理由としたものでないとしても、本件解雇には、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、解雇権を濫用したものとして、無効である(労働契約法16条)。
よって、その余の点について判断するまでもなく、本件雇用契約の終了は認められず、Xは現在でもY社に対して雇用契約上の権利を有する地位にあり、平成26年10月以降もXはY社に対する月額21万円の賃金請求権を有する。

マタハラ事案のように見えて、そもそも解雇理由がないので、マタハラ特有の論点に入ることなく無効だと判断されています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介649 仕事のヒント(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は本の紹介です。
仕事のヒント (中経の文庫)

神田昌典さんの本です。

仕事をする上で、どの様な点に着目すればうまくいくのか、ヒントがたくさん書かれています。

とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

いまの時代、お客は商品自体に対する欲求ではなく『自分の重要性を認められたい』『大切にされたい』という欲求を満たすために消費する。例を挙げれば、行きつけの居酒屋では、『いらっしゃい!』というのと、『あっ、いらっしゃい!』というのとでは、後者のほうがお客に喜ばれ、お客が定着しやすい。なぜなら、自分がお得意さんであることを覚えていてくれたからである。あなたの会社では『あっ、』の部分をお客に感じさせるために、どんな工夫ができるだろう?」(19頁)

とてもわかりやすい例ですね(笑)さすがです!

「あっ、」にあたる部分が自分の仕事では何にあたるのか。

こういうことって、ある日突然できるようにはなりませんよね。

日頃から繁盛しているお店に行って、観察してみるといいですね。

たまたま繁盛しているということはありません。

必ず理由があって、お客さんがリピーターになっているのです。

そこで見つけた「あっ、」を自分の仕事に応用するというくせを身につけているかどうかなのでしょうね。