Daily Archives: 2017年3月31日

不当労働行為165 労組の団交申入れに対し文書で報告したとおりであると回答したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、労組の団交申入れに対して文書で報告したとおりであると回答したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

社会福祉法人札幌明啓院事件(中労委平成28年8月3日・労判1146号93頁)

【事案の概要】

労組の団交申入れに対して文書で報告したとおりであると回答したこと、および労使間の確認書で合意した内容を履行しなかったことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 自身の立場を文書のみで回答するというY社の対応は、就業規則改正や職務専念義務の免除廃止といった義務的交渉事項について、対面での直接交渉の機会を設けることなくY社側の結論を組合に押しつけるものといえ、団体交渉の相対当事者である組合を軽視し、団体交渉という労働組合の基本的活動を抑制するものであるとともに、組合員に対し、組合には交渉力がないのではないかという疑念を生じさせかねない行為と評価し得る。また、現に、上記団体交渉申入れの議題に関する労使合意が成立したのは、同申入れの約4か月後である翌6年2月26日であり、本件回答書交付行為により、労使合意の成立が遅れた可能性が十分認められる。そして、組合が、労使協議を求める25年2月15日付け要求書等を皮切りに、上記問題に関する書面によるやりとりでは合意に至らなかったため、団体交渉による直接協議を求めたという経緯を経て、本件回答書交付行為がされていることに鑑みれば、Y社は同行為が組合ないし組合員に及ぼしかねない影響や効果を認識・認容していたというべきである。
以上によれば、本件回答書交付行為は、労組法第7条第3号の支配介入に当たるというべきである。

ちゃんと対面で団体交渉に応じましょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。