おはようございます。
今日は、業務縮小を理由に組合員3名を解雇したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。
エミレーツ航空事件(大阪府労委平成28年10月11日・労判1148号94頁)
【事案の概要】
業務縮小を理由に組合員3名を解雇したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 本件自宅待機命令及び本件解雇は、大阪コールセンター及び予約発券機能の廃止に伴う一連のものとして行われたところ、①人員整理を直ちに行う必要があったかについては疑問が残るところであり、②自宅待機命令及び解雇の対象者の選定が合理的であったかについて、疑問を抱かざるを得ず、③会社が解雇回避努力を尽くしたとは言い難く、本件自宅待機命令及び本件解雇に至る手続についても相当性があるということができず、これらのことに、会社と組合との間の労使関係についても、会社と組合等との間では、未払残業代やパワハラ問題を巡って対立関係にあり、また、本件自宅待機命令及び本件解雇に至る経緯において、会社の組合を軽視した姿勢が窺えることからすると、会社は、大阪コールセンター廃止を口実として、本件自宅待機命令及び本件解雇に及んだものとみざるを得ない。そうであれば、本件自宅待機命令及び本件解雇は、組合員であるが故の不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
2 本件自宅待機命令及び本件解雇は、組合員であるが故の不利益取扱いであり、会社から組合員を駆逐することによって、会社への組合活動による影響力を減じさせるものでもあるから、組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
整理解雇の要件(要素)を満たしていて有効と判断される場合には不当労働行為性も否定されるのが一般的です。
特に被解雇者選定の合理性については被解雇者が組合員である場合には注意しなければいけません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。