おはようございます。
今日は、完全歩合制の賃金と労働条件の合意の成立に関する裁判例を見てみましょう。
テクノサイエンス事件(大阪地裁平成28年9月29日・労判ジャーナル58号41頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員Xが、賃金の未払いがあるとして、その支払いを求めた事案である。
【裁判所の判断】
Y社はXに140万円を支払え
【判例のポイント】
1 Y社は、平成27年9月、Xを契約社員とすること、賃金は完全歩合制とし、会社利益の30%を報酬として支払うことでX・Y社間で合意が成立したと主張するが、Xは合意の成立を否定する供述をしており、かかるXの供述に照らしても、当該合意の存在を認めることはできないうえ、賃金を完全歩合制とする合意は労基法27条に違反するから、この観点からも当該合意について法的効果を認め難いといわざるを得ず、労働契約の変更には、当事者双方の合意が必要であるところ(労契法8条)、かかる合意があったとは認められず、Y社はXに対し、平成27年10月以降も賃金として月額35万円の支払義務を負う。
労基法27条では以下のとおり規定されています。
「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」
一定額は、当然最低賃金を上回っている必要があります。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。