おはようございます。
今日は、妊娠通知後になされた解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。
ネギシ事件(東京地裁平成28年3月22日・労判1145号130頁)
【事案の概要】
本件は、Xが、Y社がしたXに対する解雇の意思表示は無効である旨主張し、Y社に対し、雇用契約上の地位を有することの確認、同地位を前提とした賃金及びこれらの遅延損害金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
解雇無効
【判例のポイント】
1 以上のとおり、Y社が解雇理由として指摘する事実は、その事実が認められないか、あるいは、有効な解雇理由にならないものであるから、Xに対する注意・指導に関するY社の主張はその前提を欠く。
Xが就業規則40条3号、5号に該当するとは認められず、そうすると、仮に、Y社主張のとおり、本件解雇が原告の妊娠を理由としたものでないとしても、本件解雇には、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、解雇権を濫用したものとして、無効である(労働契約法16条)。
よって、その余の点について判断するまでもなく、本件雇用契約の終了は認められず、Xは現在でもY社に対して雇用契約上の権利を有する地位にあり、平成26年10月以降もXはY社に対する月額21万円の賃金請求権を有する。
マタハラ事案のように見えて、そもそも解雇理由がないので、マタハラ特有の論点に入ることなく無効だと判断されています。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。