おはようございます。
今日は、時間外割増賃金部分の区別と時間外割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。
エフエヌシステム事件(東京地裁平成28年8月24日・労判ジャーナル57号38頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で労働契約を締結して勤務したXが、退職後にY社に対し、在職中に時間外労働をしたと主張して、賃金請求権に基づく割増賃金等の支払を求めるとともに、割増賃金の不払について労働基準法114条に基づく付加金等を求めた事案である。
【裁判所の判断】
未払賃金として292万4990円+同額の付加金を支払え
【判例のポイント】
1 労働契約では、基本給を月額35万円とした上で、月間総労働時間が200時間を超えた場合はその超過時間につき1時間当たり1750円を別途支払い、150時間に満たないときはその不足時間につき一定金額を減額する旨の約定を内容とするものであるところ、当該約定によれば、1か月200時間以内の労働時間において時間外労働がされても、基本給の金額が増額されることはなく、時間外労働時間の長短にかかわらず支給金額(基本給)が増減することもないから、月額35万円の基本給について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条1項の規定する時間外の割増賃金に当たる部分とを明確に判別することはできないというべきであり、Y社は、Xに対し、月間200時間を超える労働時間中の時間外労働のみならず、月間200時間以内の労働時間中の時間外労働分についても、月額35万円の基本給とは別に、同条所定の割増賃金を支払う義務を負う。
そりゃそうだ、という判決です。
もうそろそろ固定残業制度は廃止したほうがいいのではないでしょうか。
有害無益です、この制度。
残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。