おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、企業秩序違反等に基づく解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。
GCAサヴィアン事件(東京地裁平成28年8月19日・労判ジャーナル57号42頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員が、平成24年9月9日付け降格及び平成25年8月31日付け普通解雇の無効並びに会社からの嫌がらせ等の不法行為を主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認、平成24年9月から平成25年8月までの間に降格に伴い減額された賃金約80万円及び解雇後の平成25年9月から平成26年2月までの未払賃金の合計約480万円の支払、同年3月以降の毎月の賃金約67万円の支払並びに慰謝料100万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
解雇無効
慰謝料請求は棄却
【判例のポイント】
1 本件解雇では、Xの能力、その発揮、言動、態度等における問題は深刻であり、就業規則の定める「はなはだしく業務能率が悪く、また業務の遂行に必要な能力を著しく欠くとき」又はこれに「準ずるやむを得ない理由」に一応該当すると言うべきであるが、解雇は降格・降給と異なり、労働契約を終了させ、挽回の機会もなく労働者にとって不利益は大きいから、労働者に能力不足、勤務態度不良又は適格性の欠如があっても単に使用者の期待に十分にそわないという程度にとどまらず、労働契約の継続を期待しがたいほどに重大な程度に達していることを要すると解されるところ、Xに対しては、再度の降格・降給は相当であるが、本件解雇は、いささか性急で、酷と見ることができ、本件解雇は社会通念上の相当性を欠くため無効であるから、Xは労働契約上の権利を有する地位をなお保持しているから、この地位を確認すべきである。
2 本件降格は無効とはいえないから違法性を認めることはできず、また、退職勧奨や面談の繰り返しが、不法行為を成立させるほど違法なものとは認められず、さらに、Xが主張するようなパワーハラスメント又はプライバシー侵害の不法行為が成立すると認めることはできない。
解雇理由は存在するものの、解雇は重すぎるということで相当性の要件で助けられた事案です。
はっきり言って、予測可能性は高くありません。 どこまで行ってもケースバイケースですね。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。