おはようございます。
今日は、学園が団交における労組側出席者を7名以内とすることを求め、労組がこれに応じないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為に該当するとした命令を見てみましょう。
学校法人暁星学園事件(中労委平成28年6月15日・労判1143号86頁)
【事案の概要】
本件は、学園が団交における労組側出席者を7名以内とすることを求め、労組がこれに応じないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 従前の団交の態様や団交の開催場所の状況からして、組合側出席者の人数が団交の秩序に支障を及ぼしていたとまではいえず、24年11月27日団交に向けて議論する事項がある程度整理される状況にあったことにも鑑みると、組合側出席者が7名を超える8名で申入れにかかる議題に入ったとしても、客観的にみて、同団交の冒頭において、学園が人数制約の目的として主張する「効果的に、秩序をもって団交を行う」ことが期待できない状況にあったとはいえない。
2 組合側出席者が8名であった24年11月27日団交の冒頭、学園が、組合側の出席者が7名以内でないと申入れにかかる議題には入れないと述べ、人数の制約を団交の議題に入る条件とする態度をとったことは、本件の事情に照らし、客観的にみて、「効果的に、秩序をもって団交を行う」ために上記のような条件を課す十分な理由があるとはいえず、合理的なものとは認められない。
3 確かに、24年11月27日団交においては、組合が大声をあげたり、机を叩いたりするなど、紛糾する場面があった。
しかしながら、学園は、上記の紛糾する場面が生じる前である24年11月27日団交の冒頭から、組合側出席者が7名以内でないと議題には入れないと述べ、組合が受け入れる意思がないならば今日はここで終わりにすると発言している。
・・・そうすると、学園が人数を理由に団交を拒否するという態度を改めて、団交の議題に入った場合にも秩序ある団交が期待できない状況になっていたとはいえず、また、途中退席が組合側の交渉態度によってなされたともいい難い。
確かに組合側の人数の多さには意見を言いたくなることがあるのは理解できます。
ただ、今回の事案のように、7人と8人とで団交の状況が変わるかと言われれば、実際はそれほど変わらないでしょう。
それにもかかわらず、制限人数に固執してしまうと不当な団交拒否と評価されることがありますので注意が必要です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。