おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為とされた命令を見てみましょう。
国立大学法人東京学芸大学事件(東京都労委平成28年7月19日・労判1141号91頁)
【事案の概要】
本件は、使用者が自ら示した条件に固辞し、それ以外では団交に応じないとしたことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は日本語を話せない組合らが通訳者を手配すべきであると主張し、組合らはLLRで話すことのできないY社が通訳者を手配すべきであると主張するが、団体交渉で使用する言語を一義的に決めることができない本件にあっては、団体交渉で使用する言語を話すことのできない側が通訳者の手配に要する全ての負担を負うべきものということもできない。
2 以上の点に加えて、団体交渉のルールは労使の合意で決定するのが原則であることをも勘案すると、本件労使間においては、円滑な団体交渉を行うため、団体交渉における使用言語及び通訳者の手配に関するルールについて、労使双方に合意形成のための相応の努力を行うことが求められていたというべきである。
したがって、組合らが上記合意の形成に向けた相応の努力を行っているにもかかわらず、Y社がそのような努力を行わず、団体交渉が円滑に行われる状況に至らなかった場合には、原則として、Y社は、正当な理由のない団体交渉拒否を行ったものと評価すべきである。
使用者側は、上記命令のポイント2を十分に理解しましょう。
ユニオンからの要求をなんでもかんでも拒否するだけが団交対策ではありません。
最低限の団交のルールを知り、柔軟に対応することが求められているのだと考えましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。