おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、組合員の時間外労働について、和解協定を履行せず、団交における合意に反して、非組合員と差別したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
Q社事件(兵庫県労委平成28年4月21日・労判1139号92頁)
【事案の概要】
本件は、組合員の時間外労働について、和解協定を履行せず、団交における合意に反して、非組合員と差別したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 ・・・この差からすれば、両人が公平に時間外労働を分担しているとは認め難く、会社は、時間外労働について、Xに対し、Aとは異なった取扱いをし、Xにはほとんど時間外労働を命じていないと言える。
なお、両人に共に時間外労働を命じる必要はない程度の業務量しかない日は、その業務が主に材料ヤードの業務の場合はXに時間外労働を命じてAを退勤させるべきであり、Xが従事する材料ヤードの業務をAに命じることは、平成26年12月4日の団体交渉での合意事項に明らかに反する行為であると言える。
2 時間外労働は、それを命じられないことそれ自体が不利益とは言えないし、時間外労働が命じられなかったために時間外割増賃金が支払われないことも直ちに不利益であるとは言えない。しかし、毎月、一定の量の時間外労働を恒常的に命じられ、時間外割増賃金が労働者の毎月の賃金の一定の部分を占めている場合において、時間外労働が命じられず、時間外割増賃金が支払われないことは、労働者にとって不利益と評価すべきである。
Xについても、組合加入前、会社がほぼ毎日時間外労働を命じ、それに対する時間外割増賃金を毎月支払っていたものであるにもかかわらず、組合加入後、時間外労働を命じず、時間外割増賃金を支払わないのは、Xにとって不利益と評価すべきである。
団体交渉でユニオンと合意した事項を守らなければ、不当労働行為といわれても文句はいえません。
守れない事項について合意をしないことです。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。