おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、バス乗務員に対し、他の従業員と差別して残業扱いとなる乗務(増務)を割り当てなかったことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。
東急バス(残業割当・第2・審査開始)事件(中労委平成28年3月16日・労判1137号92頁)
【事案の概要】
本件は、バス乗務員Xに対し、他の従業員と差別して残業扱いとなる乗務(増務)を割り当てなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
なお、初審(東京都労委平成20年9月2日命令)は、申立てを一部認容。
Y社が再審査を申し立て、中労委(平成21年12月2日命令)は、初審命令を取り消し、Xの申立てを棄却する命令を発した。
Xは、申立てを棄却する命令の取消しを求めて行政訴訟を提起したところ、東京地裁(平成24年1月27日判決)は、中労委命令を取り消し、同判決が確定(東京高裁平成24年10月3日判決(控訴棄却)、最高裁平成26年12月16日決定(上告不受理))したことから、中央委は本件審査を再開した。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 不当労働行為救済申立事件に係る命令の取消訴訟において原命令を取り消す判決が確定し、労働委員会が当該事件の審査を再開して命令を出す際は、上記判決の拘束力が及び、当然ながら原命令に関する判断に抵触する認定判断をすることはできない(行政事件訴訟法第33条第1項・第2項、労働委員会規則第48条・第56条第1項)。
したがって、本件審査再開事件において、Xに係る差別的な増務割当てが不当労働行為に当たるとした東京地裁判決の判断は最終的なものであるから、以後、当事者がこの判断に抵触する認定判断を当委員会に求めることは許されないというべきである。
2 また、本件Xの救済申立てについては、労働委員会における審査及び取消訴訟における審理の一連の手続を通じて、本件当事者に十分な主張立証の機会が与えられ、主張立証が尽くされたうえで判決が確定している以上、Y社が、その後の手続において、上記取消判決の認定判断を蒸し返すことは、信義則に反するというべきである。
そういうことです。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。