Monthly Archives: 10月 2016

本の紹介610 才能を伸ばすシンプルな本(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
才能を伸ばすシンプルな本

1頁目にアリストテレスの言葉が紹介されています。

人間は繰り返しおこなっていることの結果である。したがって、卓越性とは行為ではなく習慣なのだ。

いくつかの視点で「才能を伸ばす」ために重要とされていることを紹介しています。

とてもわかりやすく書かれており、おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

超一流のエキスパートたちの姿勢には甘えも傲慢さもない。いつも汗水たらして一生懸命に努力をする。気が向かなくても、毎朝起きてひたすら課題に取り組む。それが超一流のエキスパートたちの特徴だ。スーパーリアリズムで有名な画家チャック・クロースは、こう言っている。『ひらめきに頼っているようではアマチュアだ』」(145頁)

結局は、上記のアリストテレスの言葉にもあるように、「習慣」の問題なのです。

どこまでいっても、結局はそういうことなのです。

何をすべきか、何が大切かがわかっている人は多いけれど、それをずっとずっとやり続けられる人はほとんどいません。

途中でやめてしまうのです。

何度となくこのブログに書いてきたことですが、習慣化するのに必要なのは、才能・能力ではなく、技術です。

習慣化する方法を知っているかどうかなのです。

努力を続けることさえできれば、たいていのことはうまくいきます。

不当労働行為158 時間外労働に関する組合員差別と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合員の時間外労働について、和解協定を履行せず、団交における合意に反して、非組合員と差別したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

Q社事件(兵庫県労委平成28年4月21日・労判1139号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の時間外労働について、和解協定を履行せず、団交における合意に反して、非組合員と差別したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・この差からすれば、両人が公平に時間外労働を分担しているとは認め難く、会社は、時間外労働について、Xに対し、Aとは異なった取扱いをし、Xにはほとんど時間外労働を命じていないと言える。
なお、両人に共に時間外労働を命じる必要はない程度の業務量しかない日は、その業務が主に材料ヤードの業務の場合はXに時間外労働を命じてAを退勤させるべきであり、Xが従事する材料ヤードの業務をAに命じることは、平成26年12月4日の団体交渉での合意事項に明らかに反する行為であると言える。

2 時間外労働は、それを命じられないことそれ自体が不利益とは言えないし、時間外労働が命じられなかったために時間外割増賃金が支払われないことも直ちに不利益であるとは言えない。しかし、毎月、一定の量の時間外労働を恒常的に命じられ、時間外割増賃金が労働者の毎月の賃金の一定の部分を占めている場合において、時間外労働が命じられず、時間外割増賃金が支払われないことは、労働者にとって不利益と評価すべきである
Xについても、組合加入前、会社がほぼ毎日時間外労働を命じ、それに対する時間外割増賃金を毎月支払っていたものであるにもかかわらず、組合加入後、時間外労働を命じず、時間外割増賃金を支払わないのは、Xにとって不利益と評価すべきである。

団体交渉でユニオンと合意した事項を守らなければ、不当労働行為といわれても文句はいえません。

守れない事項について合意をしないことです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介609 加速成功(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
加速成功

文字通り、短期間で成果を出すために意識すべきことが書かれています。

のんびりやるよりもスピードを意識するほうがむしろ成果が出やすいというのは私も同感です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

師匠から効果的に学ぶもう一つの方法として、『モデリング』について説明します。
これはモデルにした人を徹底的にマネして、その人のもつ能力を自分のものにしていくという技法です。
では、何をマネすればよいと思いますか?
ジェームスは『言葉』『感情』『仕草』の三つをマネするのがよいと教えてくれました。
・・・不思議なことですが、言葉と感情と仕草、この三つをマネしていくと、その人と同じ結果が現れてくるとジェームスはいいます。」(47~48頁)

真似をすることの重要性については多くの本で説かれていることです。

この本では、もう1歩進めて、「では、何を真似するのが効果的なのか?」ということが書かれています。

キーワードは、「言葉」、「感情」、「仕草」。

いかがですか?

私は、とってもしっくりきます。

まずは話し口調や動作という外見を真似します。

次に、メンターとなる人の感情も真似してみます。

これはどういう意味か。

私の解釈では、ある出来事、特に自分にとって困難な状況のときに、その人はどのような感情になっているか、ということを観察し、真似してみるのです。

ため息をついて落ち込んでいるのか、積極的に困難を克服しようと前を向いているのか。

そういうことまで真似することによって、その人に近づけるのではないでしょうか。

解雇215(日本アイ・ビー・エム(原告3名)事件)

おはようございます。

今日は、業績不良を理由とする解雇が無効とされた裁判例を見てみましょう。

日本アイ・ビー・エム(原告3名)事件(東京地裁平成28年3月28日・労経速2286号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に期限の定めなく雇用されていたXらが、業績不良を理由として解雇されたことについて、解雇事由が存在せず、労働組合員であるXらを解雇して労働組合の弱体化を狙ったものであって、解雇権の濫用として無効であり、不法行為に当たるとして、労働契約に基づく地位の確認、解雇後に支払われるべき賃金及び賞与等並びに不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用を請求する事案である。

【裁判所の判断】

X1~X3の解雇はいずれも無効

【判例のポイント】

1 X1は、・・・業績不良は認められるものの、担当させるべき業務が見つからないというほどの状況とは認められない。また、PBC評価はあくまで相対評価であるため、PBC評価の低評価が続いたからといって解雇の理由に足りる業績不良があると認められるわけではないこと、X1は大学卒業後Y社に入社し、約25年にわたり勤務を継続し、配置転換もされてきたこと、職種や勤務地の限定があったとは認められないことなどの事情もある。
そうすると、現在の担当業務に関して業績不良があるとしても、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上での更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた本件解雇①は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである。

2 解雇予告と共に職場から退去させられ出社を禁止されたことについては、Y社が情報システムに関わる業務を行う企業であり、Xらの職場でも自社及び顧客の機密情報が扱われていると推認できるところ、一般的には、解雇予告をして対立状態となった当事者が機密情報を漏えいするおそれがあり、しかも、漏えいが一旦生ずると被害の回復が困難であることからすると、上記の措置に違法性があるとはいえない

3 解雇予告時に、具体的な解雇事由を明記せず解雇を伝えるとともに、X2及びX3に対しては短い期間内に自主退職をすれば退職の条件を上乗せするという提示をしたことについては、実体要件を満たしている限り本来は解雇予告をするまでもなく即日解雇することも適法であること、使用者に解雇理由証明書を交付する義務があるとしても解雇の意思表示の時点で解雇理由の具体的な詳細を伝えることまでは要求されていないこと、期間内に自主退職をすれば退職の条件を上乗せするという提示はそれがない場合と比較して労働者にとって不利益な扱いともいえないことからすると、違法性があるとはいえない。
したがって、Xらに対する解雇の態様が違法であるとはいえず、これを理由とする不法行為の成立は認められない。そして、本件では、解雇自体は権利濫用に当たり無効であるが、Xらにつきそれぞれ解雇理由とされた業績不良はある程度認められること、解雇時に遡って相当額の給与等の支払がされることにより、解雇による精神的苦痛は相当程度慰謝されるものとみるべきことなども考慮すると、解雇による不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。

成績不良による解雇の場合には、上記判例のポイント1で示されているとおり、相対評価による評価結果の取り扱い(評価のしかた)は注意が必要です。

解雇回避措置の内容、程度を見られるので、解雇する前にしっかりと手続きを踏むことが大切です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介608 久保利英明ロースクール講義(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
久保利英明ロースクール講義 君は〈正義〉のために闘えるか?

本書は、久保利先生が桐蔭法科大学院で教授を務める「現代弁護士論」でのゲストスピーカーの講義録です。

ロースクール生、修習生に限らず、若手弁護士も必読の本だと思います。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・どんな業界でも時代の要請はすべて依頼者が知っているのです。だから私は、弁護士にとって依頼者がすべてだと言っています。お金などもらわなくてもいい。依頼者には無尽蔵の潜在的なキャパシティがある。だから、本当に依頼者、クライアントを大事にする。クライアントに教わる。これが一番意味があることだと私は思います。」(95頁)

久保利先生のお話です。

同感です。

私も頻繁に顧問先会社の社長や役員の方と会食をしますが、そこでの会話は、弁護士業務の宝となっています。

業界慣行や今後の業界動向、弁護士に求める役割等について話を聞く機会というのは、まさにプライスレスです。

大人数の会合ではなく、ごく少数での会食がベストだと思います。

2時間、じっくり話をするには、いわゆる異業種交流会は向いていないように思います。

名刺を交換して終わってしまいますし・・・。

不当労働行為157 組合員に対して時間外労働を命じなかったこと、運送業務を配車しなかったことが不当労働行為にあたるか(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員に対して時間外労働を命じなかったこと、運送業務を配車しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。

大石運輸事件(埼玉県労委平成28年7月28日・労判1139号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員に対して時間外労働を命じなかったこと、運送業務を配車しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

時間外労働を命じなかったことは不当労働行為にあたらないが、運送業務を配車しなかったことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社には、組合嫌悪の情があったことが認められる。
しかしながら、Y社の対応にはいずれも合理性が認められる。本件残業差別以降における会社の対応をも考え合わせれば、本件残業差別は、X2が本件36協定は無効であるとして残業拒否をしたこと、Y社がX2に対し時間外労働を命じた場合に、X2が当該命令に従わないことにより生じる会社の営業上のリスクを回避すること、及び後でX2から労基署に対して労基法違反である旨申告されることによるトラブルを回避すること、のために行われたものとみるのが相当である。
以上のことからして、Y社が、X2に対し、平成27年5月11日以降、時間外労働を命じなかったことは、組合員であるが故になされたものとは認められず、労組法7条1号の不当労働行為であると判断することはできない。

2 Y社には組合嫌悪の情が認められる。
もっとも、本件配車差別が開始された平成27年5月25日から第4回団体交渉が開催された同年6月19日までの会社の対応には合理性が認められる。この間の会社の対応は、X2が本件36協定の無効を主張する中で、X2に対して配車をするべく就業時間の繰上げ又は繰下げの提案をしつつ、平成27年5月22日のように会社の指示をX2が拒否しないかどうかを確認できなかったために、会社の被るリスクを避けるために配車を見合わせていたものとするのが相当である。X2に対して配車をしなかったことが不当労働行為によるものと認めることはできない
しかしながら、第4回団体交渉において、労組は、Y社に対して、X2に午前8時から午後5時までに収まるような配車をすることを要求し、それに対して、Y社は「努力する」と回答している。Xは、午前8時から午後5時までの運送業務を拒否したこともなかったそれにもかかわらず、平成28年3月31日までX2に対して配車をしなかったことはすでにみたとおりである
会社が、本件配車拒否を行った理由として述べる午前8時から午後5時までの運送業務はまれであったためにX2に対して配車できなかったことには合理性が認められない。
・・・以上のとおりであるから、Y社がX2に対し、平成27年6月23日から平成28年3月31日まで、運送業務を命じなかったことは、労組法7条1号の不当労働行為に該当する。

組合員と非組合員で業務量に差があり、それが給与面に影響する場合には、注意が必要です。

業務量の差について合理的な理由を説明できなければ不当労働行為に該当する可能性が出てきます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介607 マスターの教え(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
マスターの教え 文庫版

物語を通じて、「富と知恵と成功」をもたらす秘訣について伝えています。

わかりやすい内容とはいえませんが、根気強く読むといわんとしていることがわかってきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ですから、その力を向ける先がいくつもあると、力は分散されて、それぞれの目標はごく弱い刺激しか受けられず、その結果、反応が遅れ、時にはまったく何も起こらないというわけです。あなたは、いくつも小さな目標を達成してやっと到達できるような、大きな究極の目標を持っていますか?もしそうであれば、大部分の目標はそのまま置いておいて、今は、全力を最も手近な最初の目標に向けなさい。そして、その目標が実現したら、次の目標を取りあげればよいのです。」(96頁)

力を分散させないというのは、私がこのところよく考えていることです。

やりたいこと、やらなければならないことが多くあると、意識しないとすぐに力が分散してしまいます。

あれもこれもとなるとたいていすべてがうまくいかないことは経験上よくわかっています。

仮にうまくいったとしても、1つ1つにとても時間がかかります。

手を広げることは簡単です。

1つのことだけをずっとやり続けることのほうがよほど難しいです。

広げれば広げるほど、散らかし放題散らかして、何の結果も出ない、ということになりかねませんので。

1つ1つ着実に行う、という意識がとても大切ですね。

解雇214 法人解散に伴う整理解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、法人解散に伴う病院長の解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

一般財団法人厚生年金事業振興団事件(東京高裁平成28年2月17日・労判1139号37頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社が解散に伴う本件解雇は無効であると主張して、雇用契約に基づく賃金請求または不法行為に基づく損害賠償請求として、2000万円の支払請求をした事案である。

原審は、Xの請求を棄却した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 (原審判断)Y社の解散自体は、RFOが改組されて新機構となり、新機構が本件病院等を自ら経営することが法改正により定まったことによるもので、やむを得ない事由によるものであったと評価されるところ、解散に伴い職員を解雇することもY社の解散手続に伴うやむを得ない措置であるというべきである解散に伴う解雇については、事業そのものがなくなるのであるから、法人が存続しつつ人員削減措置をとる整理解雇とは前提を異にしており、いわゆる整理解雇の四要件は適用されない
また、Y社は、Xを含む職員に対して、法改正に伴う対応について、十分な説明をしているものと認められることから手続上の瑕疵もない。そして、X・Y社間で雇用期間の保証があったとは認められないことから、Xの雇用期間の保証があったことを前提とする解雇無効の主張はその前提を欠く

2 Xの主張する解雇回避努力義務は、本件解雇後、新機構にXが本件病院の院長として再雇用されるよう努力する義務を実質的には意味するものと理解できるが、Xを再雇用するかどうかの判断は、新機構あるいは改組前のRFOが判断すべき事項である。そもそもRFOのC理事長がXを採用しなかった理由に対し、Y社がRFOにXの本件病院の院長として適任であることを説得できる材料を有していたことを認めるに足りる証拠はない。なお、本件調停及び本件仮処分の経過によれば、X自身は本件病院の非常勤医師として勤務することを望んでいないと考えられることから、Y社が本件病院の非常勤医師として勤務できるよう新機構あるいは改組前のRFOに働きかけることはXの主張する解雇回避努力には含まれないというべきである。ましてや、円満退職のための調整努力については、Xの心情に即すれば理解できる面もあるが、解雇無効とされるほどの違法事由であるとは認められない。
そうすると、本件解雇は、Y社の解散に伴う事業上の都合によるやむを得ない理由に基づくものとして有効であり、Xの主張は理由がない。

偽装解散等の特段の事情がない限り、上記判例のポイント1のように判断されることになります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介606 世界のエリートが教えるちょっとした仕事の心がけ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界のエリートが教えるちょっとした仕事の心がけ (マイナビ新書)

帯には「ビールは0.2秒でつげ!」と書かれています。

キャッチーなので、このフレーズが選ばれたのでしょうが、本の内容は、もっと真面目な内容です。

あるべき姿勢・考え方について触れられており、いずれも王道の内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

量は質に転化します。成果が出ない人はやはり量をこなしていません。おもしろい仕事がない、自分には向いていない、だから会社をやめますなど、若い人でグジグジ言っている人がよくいます。試行錯誤もせず、努力の量が全然足りない段階でほかの会社に行ったって一緒です。・・・日本人は、自分たちは馬車馬のように働かされて蟻地獄のようだとよく言いますが、能動的にやっていないから、いつまでたってもラットレースから抜けられないんです。量は質に転化するので、やるときは徹底的にやらないといけません。」(69~70頁)

同感です。

能動的に仕事に取り組む人と受動的に仕事に取り組む人とでは、天と地ほど成果が異なることは争いがないところではないでしょうか。

目の前の仕事をいかに能動的に取り組めるか。

これは目の前の仕事それ自体の問題ではなく、その仕事に対するその人の解釈の問題です。

単にやらされている作業と解釈するのか、

その仕事に価値を見い出し、社会への影響等を想像できるか

そういう話なのだと思っています。

愚痴を言い出したらきりがありません。

幻冬舎の見城社長の言葉を借りるならば、「憂鬱でなければ、仕事じゃない。苦しくなければ、努力じゃない」と思うわけです。

能動的に仕事をすれば楽しくなるのか、と言われれば、決してそんなことはありません。

能動的だろうがなんだろうが、仕事は苦しいです。1日終わるとぐったりします。

まあ、でも仕事ってそういうものじゃないですか?

そう思うわけです。

解雇213 好待遇でヘッドハンティングされた従業員に対する勤務成績不良を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勤務成績不良を理由とする解雇が有効と判断された裁判例を見てみましょう。

ドイツ証券事件(東京地裁平成28年6月1日・労判ジャーナル54号39頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していた元従業員Xが、Y社から解雇の意思表示を受けたものの、当該解雇は無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本判決確定の日まで、月額給与約305万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの収益結果は、金額自体も収益目標に対する達成率も減少を続けていることが認められるところ、外資系金融会社では、営業成績が労働能力及び勤務成績の評価に直結する面があることは否定できず(このため、営業成績が上がれば、これに連動して高額な基本給とは別に多大な裁量賞与が支給される)、評価者と被評価者の合意の下で設定される収益目標及びこれに対する達成率を労働能力及び勤務成績査定の重要部分として位置づけ、これを単年度ではなく複数年度でかつ前年比という水準を考慮して評価することに合理性はあるというべきであり、また、本件労働契約は、職種限定契約であり、Xは、上級の専門職として特定の職種・部門のために即戦力として高待遇で中途採用されたものであり、長期雇用システムを前提とした従業員とは根本的に異なるところ、期待される能力を有していなかった場合には、解雇回避措置を取らなかったとしても、それをもって直ちに解雇の相当性を欠くことにはならないというべきである

好待遇でのヘッドハンティング事案では、このような判断がなされることが多いですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。