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今日は、実質的に一体性をもった経営主体を構成する会社が労組法上の使用者にあたるかが争われた事案について見てみましょう。
伊藤興業ほか1社事件(兵庫県労委平成28年4月7日・労判1137号91頁)
【事案の概要】
本件は、申立外A社と実質的に一体性をもった経営主体を構成するB社およびC社はA社従業員が加入する労働組合の組合員との関係において労組法7条のの使用者にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
労組法7条の使用者に当たる
【命令のポイント】
1 B社とC社は、両社の創業者であるA及び両社の株主又は役員であるその親族が鉄関連業務を中心とする各種の事業経営を遂行するための手段として設立し、又は経営する会社であり、実質的にA一族の下で一体性を持つ経営体を構成していたのであって、その中でA社は、鉄関連業務を行うB社の運輸部門として機能していたものと認められる。
・・・以上のとおり、B社は、分会の組合員らに対する関係において、労組法第7条の使用者であると認めるのが相当である。
2 C社は、A社の解散時において存在しなかったものの、その設立後においては、A一族の下でA社と一体性を持った経営体を構成しており、A社から鉄関連業務を実質的に引き継いでいると認められ、このことからすると、C社もB社と同様に、分会の組合員らに対する関係において、労組法第7条の使用者であると認めるのが相当である。
別法人にもかかわらず、実質的には一体性を持つ経営体であると認定され、労組法上の使用者性が認められたものです。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。