おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。
廣川書店事件(東京都労委平成27年10月6日・労判1128号94頁)
【事案の概要】
本件は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 ・・・これらの団体交渉は、いずれも、25年12月27日の本件申立ての1年以上前の行為であるから、これらの団体交渉に係る申立ては期間とかにより却下を免れない。
なお、組合は、上記団体交渉に係る事実は、労働組合法27条2項に規定する継続する行為に該当すると主張するが、本件団体交渉事態は、その都度完結したものと解されるのであり、継続する行為であるということはできない。
2 そもそも、Y社が、賃上げについては11年以降25年まで15年連続でゼロ回答に、一時金については16年夏季から25年冬季まで10年連続で「30万円±20万円」という回答に終始していること自体、会社回答の合理性を疑わせるものであって、会社としては、自らの回答を根拠付ける資料を開示した上で、賃上げできない理由や一時金の金額の根拠を誠実に説明し、組合との交渉に真摯に臨む必要があった。
しかし、・・・会社は、団体交渉において、一環して自らの結論を述べるのみであり、組合が、会社回答の根拠を求めても、これまでの実績と同額・・・、考えを変えるつもりはない、何も言うことはないなどと応答するのみで、組合に対し何ら回答の根拠を示さず、交渉によって妥協点を見いだそうとする態度を示すことはなかった。
・・・したがって、・・・会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。
上記命令のポイント1はあまり見かけない判断ですね。
労働組合法27条2項 「労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。」
これが根拠条文です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。