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今日は、臨時職員である組合員の雇用契約更新に当たり、組合と交渉することなく、組合員に雇用契約更新回数の制限などの条件を個別に提示したことが不当労働行為にあたるかが争われた事例を見てみましょう・
埼玉県国保連合会事件(埼玉県労委平成27年10月22日・労判1126号87頁)
【事案の概要】
本件は、臨時職員である組合員の雇用契約更新に当たり、組合と交渉することなく、組合員に雇用契約更新回数の制限などの条件を個別に提示したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 Y社が、契約期間が3月31日までの臨時職員に対して、4月1日以降の契約更新に係る個別面接を2月下旬に行うことは、対象者の更新希望の有無を確認し、更新を決定するのに必要な行為であり、その内容、時期からして合理的なものといえる。
また、その態様・程度も例年どおり更新希望の確認と勤務条件等の書面への署名又は押印を求めるもので、個別面接の趣旨からして合理的な範囲にとどまる。
2 組合は、個別面接当日の朝に団体交渉を申し入れたことをもって、異議申入れをしたのにY社が個別面接を強行したかのような主張をなすものであるが、当該要求書には「3月7日までに団体交渉を行うことを申し入れます。」と記載されていることから組合が団体交渉を個別面接時に行うように申し入れたとは認めることができない。また、前述のとおりこの時期に個別面接を行うことは合理的なものと言えることから、当該要求書をもってY社が個別面接の中止や延期をすべきであったとみることもできない。執行委員長を含む組合員においても個別面接実施自体を異議なく受け入れ、勤務条件等の書面に各自了承サインまでしている。
3 よって、・・・組合嫌悪の念から組合の存在を否定し、あえて個別面接を行ったものとは言えず、労組法7条3号で禁止する支配介入に該当しない。
団体交渉継続中に、組合を飛び越して、各組合員と交渉をすることは原則として許されませんが、今回の事案は、特に不合理な対応ではなかったため、不当労働行為にはあたりませんでした。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。