Monthly Archives: 2月 2016

不当労働行為132(学校法人順正学園事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、団交開催までに長期間を要したことおよび賃金は人事院勧告に準拠しているとの説明に終始したY学園の対応が不当労働行為とされた例を見てみましょう。

学校法人順正学園事件(岡山県労委平成27年7月23日・労判1123号166頁)

【事案の概要】

本件は、団交開催までに長期間を要したことおよび賃金は人事院勧告に準拠しているとの説明に終始したY学園の対応が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 上記の団体交渉に至る経緯については、いずれも、Y学園は組合の団体交渉の申入れに対して、速やかに返答せず、組合から日程調整の督促を受けて対応している状況が認められ、こうした学園の対応は誠実な態度とは認めることができず、誠実交渉義務に違反するものである。

2 国家公務員の給与を賃金の基準とすることも、それ自体は不合理なものではなく、また、学園事務局の給与担当者の人数を考慮すれば、学園の主張する人勧準拠にも一定の合理性は認められ、そして人勧準拠とするかどうかは学園の裁量的判断事項に属するものである。
しかし、Y学園に問われているのは、団体交渉の際、Y学園が組合に対し、組合の理解を得られるように、人勧準拠が合理的であるとする根拠を一定の財務資料を含む具体的な資料等を示して説明するなどの努力をしたかどうかの点にあるのであって、本件救済申立てまでの学園の態度は、人勧準拠という結論を述べるにとどまっており、誠実な交渉態度と評価することはできない

3 組合が開示を求めている賃金支給要領が労働条件に関するものであることは明らかであり、その運用の基準が明らかとならない限り、これに関する労働条件を話し合う基礎となるものがないことになるから、仮に手元資料的なものしかないとしても、その内容を組合に示し、その運用について真摯に話し合うのが適切な団体交渉のやり方であり、組合設立以降、長年にわたる組合からの開示要求に対し開示をしていない状況が継続していたことを踏まえると、26年1月21日の団体交渉における学園の対応も、誠実な交渉態度であったと認めることは困難である

使用者側は、具体的な説明を避けたい気持ちが働くと、このような対応になってしまいがちです。

しかし、誠実交渉義務を負っている以上、団体交渉でお茶を濁してその場を納めることは無理だと理解しなければなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介527 お金の科学(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
(文庫)お金の科学 (サンマーク文庫)

ジェームス・スキナーさんの本です。

サブタイトルは、「大金持ちになる唯一の方法」です(笑)

決して小手先のノウハウが書かれているわけではなく、成功するためのマインドが書かれています。

どちらかというと、「成功するための唯一の方法」という方がしっくりきます。

常に持ち歩くに値する本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

アーノルド・シュワルツェネッガ-がミスターオリンピアを目指してトレーニングをしていたとき、雑誌のインタービューを受けた。そして、次のように質問された。
『10回、重りを上げるとき、一番効果が出るのは何回目でしょうか』
彼が答えた。
『12回目だ』
ほとんどの人は、人生を最低限の努力で済まそうとしている。滑り込みセーフで通そうとする。ぎりぎりの線で抜け出そうとする。しかし、裕福になるプロセスは、今の自分以上の存在になるプロセスである。そして、今以上の存在になる唯一の方法は、今の状況を超える努力をすることだ。・・・自分の基準を上げよう。星を目指そう。ほかの人があなたに要求する以上のことを自分自身に要求しよう。」(203~204頁)

どうですか。

このような考え方に基づいて、不断の努力をすれば、成功すると思いませんか。

できるだけ楽をして、できるだけ努力をしないで、それでいて、成功はしたいというのはもう無理だと理解すべきです。

人が10回までしかやらないところを、成功したいなら、12回やるべきなのです。

8回しかやらないのに、それでいて12回の人と同じように成功したいと願うのは、もはや赤ちゃんのわがままのレベルです。

あとはやるかやらないか、やり続けるか、途中で投げ出すかの問題だけです。

賃金108(有限会社空事件)

おはようございます。

今日は、雇用契約書等のない居酒屋店板前による割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

有限会社空事件(東京地裁平成27年2月27日・労判1123号149頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、法定時間外労働・深夜労働に対する割増賃金及び付加金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、552万9711円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、付加金229万9369円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、Xと雇用契約を締結する際に法定時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金を含んで月額30万円(後に増額して月額33万円)とすることをXとの間で合意した旨主張し、Aはこれに沿う旨の陳述をする。確かに、居酒屋aの営業時間及びXが板前であること等を踏まえれば、Y社としては、Xの日々の業務において時間外労働及び深夜労働の発生が当然に予想されることを考慮した上でXの賃金額を月額30万円(後に33万円)と定めた可能性も否定できないが、Xが上記合意の事実を否認し、かつ、Xの入社時に雇用契約書その他の労働条件を記載した書面が作成されていない以上、Aの上記陳述のみから上記合意の事実を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
また、Y社は、月額賃金のうち4万1000円は割増賃金として支払われたものである旨主張する。このように毎月支払われる賃金のうちの一定額が割増賃金(いわゆる固定残業代)として支払われている場合には、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができる必要がある(平成24年3月8日最高裁第一小法廷判決等参照)ところ、Y社からXに交付されていた給料支払明細書には「基本給330,000」と記載されているのみであり、他にXの月額賃金の内訳を明らかにした書面等が存するとは認められないから、月額賃金のうち4万1000円が割増賃金として支払われていた旨のY社の上記主張は理由がない
よって、Xの月額賃金33万円に割増賃金が含まれているものと認めることはできず、この点に関するY社の主張は理由がないといわざるを得ない。

2 労働基準法114条に定める付加金の支払請求については、使用者による同法37条等違反の程度や態様、労働者が受けた不利益の性質や内容、前記違反に至る経緯等の諸事情を考慮してその可否及び金額を検討するのが妥当である。
前記に検討したところによれば、Y社は、Xに対して割増賃金の支払義務を負いながらその支払を怠っていたものと認めることができるが、前記のとおり、Y社としては、Xの日々の業務において時間外労働及び深夜労働の発生が当然に予想されることを考慮した上でXの賃金額を月額33万円と定めた可能性も否定できないこと、Y社がXに対し割増賃金を支払ってこなかった背景には、割増賃金も含めて月額33万円の賃金が支払われているとY社が認識していた面もあると考えられること、月額33万円の賃金に割増賃金の一部が含まれているとしても、前記のとおり本件においては月額33万円の全額を割増賃金の算定基礎とするほかなく、その分、割増賃金が高額に上っている面もあると考えられることなど、本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると、本件においては、前記の未払割増賃金のうち、労働基準法114条ただし書の規定により付加金請求の対象とし得る平成24年4月分以降の割増賃金(合計459万8737円)の全額を付加金として被告に支払を命ずるのは、同条の趣旨を考慮しても必ずしも相当ではないというべきであり、本件の付加金としては、上記合計額の5割に相当する229万9369円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を命ずるのが相当というべきである。

この事例でも、固定残業制度の理解が不十分であったために逆効果の結果となっています。

このような例は枚挙に暇がありません。

普通に基本給+残業代を支払っているほうが、よほど使用者にメリットがあるわけですが、どうしても基本給の金額を大きく見せたいという気持ちが働くのでしょうね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介526 朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!

このブログに何度も登場しています株式会社武蔵野の小山社長の本です。

今回は、朝の掃除に着目した本です。

なんで朝掃除をすると会社が儲かるのか、すぐには結びつかないと思いますが、ちゃんと理由があるようです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

マネをするときは、『そのままマネする』ことが大切です。工夫をしてはいけません。・・・私はこれまでたくさんの会社を見てきましたが、業績が悪い会社ほど、一社の例外もなく、工夫を加えています。一方、黒字の会社は、そのままマネをしています、120%以上伸びている会社は、一社の例外もなく、素直にマネをしています。『あいうえお』は『あいうえお』と覚えれば使えるのであって、『あ』を『あ』と書く理由がわからなくても困りません。」(211頁)

同感です。

小山社長の仰るとおりです。

成功している人や会社の真似をすることはとても重要です。

その際、少し自己流を混ぜてやってしまう人がいるのですが、たいてい逆効果です(笑)

「守・破・離」の理屈から言えば、真似をし始める段階で自己流を入れる理由は全くありません。

真似をする場合には、そのまま受け入れる覚悟が必要なのだと私は思います。

結局、素直な人間が伸びると言われるのは、素直に成功者の真似をでき、そのままの形を受け入れられるからなのでしょう。

不当労働行為131(日本郵便(越谷局)事件)

おはようございます。

今日は、組合員の懲戒処分に関して苦情処理会議で審理されたことなどを理由に団交に応じなかったことが不当労働行為とされた命令を見てみましょう。

日本郵便(越谷局)事件(埼玉県労委平成27年10月7日・労判1123号163頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の懲戒処分に関して苦情処理手続で審理されたことなどを理由に会社が団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 義務的団交事項は、団体交渉の対象事項のうち、団体交渉の対象事項のうち、団体交渉権保障の核心的部分を構成するのであるから、法的保障の意義は大きく、それを制限することは原則として許されない。義務的団交事項は、憲法28条及び労組法によって使用者に対する労働組合からの団体交渉申入れに応じなければならない義務を伴って保障されているからである。

2 すなわち、組合員の労働条件や処遇に関する基準については団体交渉で行い、組合員の処遇等に関する個別的人事権の行使については苦情処理手続で行うというように、区別して各々の手続に委ねることを労働協約に定め、個別的人事権の行使に関する事項を団体交渉の対象事項から除外し、苦情処理手続の下に据えること自体は可能である。しかし、その場合には、団体交渉権保障の趣旨を尊重し、苦情の内容を十分に聴き取る姿勢が示される実質的な審理がなされ、会社側は自らの主張について客観的な資料に基づいて説得するなど労使対等の立場で問題解決にあたるといった団体交渉の趣旨を損なわないものでなければ、団体交渉制度に代置するとはいえない

3 ・・・以上によれば、個別的人事権の行使に関する事項を団体交渉の対象事項から除外し、苦情処理手続に代置する本件協約等の定めは、規定上からは、苦情処理手続が団体交渉権の保障する実質審査を例外的に保障するにとどまるものに過ぎない。
また、実際の運用においても、苦情の内容を十分に聴き取る姿勢が示されたり、会社側が自らの主張について客観的な資料に基づいて説得したりするなど労使対等の立場で問題解決にあたるといった団体交渉の趣旨を損なわないような実質審査を行っているとは認められない。
よって、本件苦情処理手続は、団体交渉権保障の趣旨に照らして団体交渉に代置しうるものとはいえない

4 以上のとおり、本件協約等における苦情処理手続は、個別的人事権の行使に関する事項について、団体交渉に代わって、実質的で慎重な協議や審理が行われることが制度的に担保されているとはいえない。
また、現にそのような運用がなされていると評価することは到底できない。
したがって、実質的に団体交渉に代わる手続として機能しているとみなすことはできない。
よって、・・・かかる会社の対応は、労組法7条2号の不当労働行為に該当する。

あまり見ることのない争点ですね。

苦情処理手続をもって団体交渉の代わりとすることは、よほどの手続的な保障をしない限り、使用者が団交応諾義務を果たしたとはいえないのではないでしょうか。

そう考えると、あえてこのような制度を設ける意義があるのか疑問です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介525 資産15億円男が調べまくった成功者たちの(秘)習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
資産15億円男が調べまくった成功者たちの(秘)習慣-THE Kノート- (コア新書)

著者は、大阪のタレントの方です。

本の内容としては、偉人や成功者の言葉を紹介し、著者自身の解釈が書かれているものです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

常にライバルの成功を願う-タイガー・ウッズ」(168頁)

彼は、常日頃から『相手が失敗しなければ勝てないプレーヤーは二流であり、最高の相手に勝手こそ真の勝者である』と言っていたそうです。」(170頁)

すばらしい考え方だと思います。

相手が調子の悪さを願うのではなく、むしろ、相手の絶好調を願う。

普通の感覚では受け入れにくい考え方かもしれません。

でも、本当に一流のプレーヤーは、そんな状態の相手に勝っても、それは自分の実力ではないと考えるのでしょう。

巷では足の引っ張り合いが横行している中、ライバルの絶好調を願うという心の持ち方は、非常に前向きであり、是非見習うべきだと思いました。

有期労働契約61(警備会社A事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、3か月ごと14回更新してきた準社員に対する雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

警備会社A事件(東京地裁立川支部平成27年3月26日・労判1123号144頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社との間の有期雇用契約が期間の定めのないものに転化したか、そうでないとしても、実質的に期間の定めのない雇用契約と同視できるから、Y社がした雇用契約を更新しない旨の通知は解雇権の濫用に当たり許されないとして、Y社に対し、’(1)雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、雇用契約の更新を拒絶されたとする平成25年1月以降毎月11万7270円の賃金の支払いを求めるとともに、(2)Y社の不当解雇により精神的苦痛を受けたとして、不法行為に基づく慰謝料160万円の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件雇用契約に係る雇用契約書には、契約の更新に関する記載はなく、3か月の雇用期間が終了する前に、新たに雇用期間を3か月とする雇用契約書を作成しており、当然更新を重ねたことはないこと、訴外会社とXとの間の雇用契約は、訴外会社が警備業務を受託しなくなったことにより、雇止めを受けて終了したのであり、本件雇用契約は、訴外会社とXとの間の雇用契約とは、法的には全く別のものと評価されること、本件雇用契約の更新回数は、14回にわたっているものの、本件雇用契約の期間は3か月であるから、通算して3年9か月であること、Xは、上記のような経緯でY社に採用された際に、既に65歳になっており、Xと同様に、Y社に採用されることになった者の中には、Xよりも高齢の者も複数いたが、いずれも、既に退職しており、Y社から雇止めを受けた者もいること、Xは、本件雇止めの当時、本件施設の派遣隊員の中では最高齢の68歳で、次回の更新をすれば69歳に達するという者であったこと、本件施設は、複雑な構造をしており、かつ、車両認証システムや専門の管制室が備えられており、これらの点に適切に対応し得る判断力や俊敏さが求められていることが認められこれらの事情に照らせば、本件雇用契約は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在しているとも、期間満了後にY社が雇用を継続すべきものと期待することに合理性があるものともいえないから、いわゆる解雇権濫用法理を類推適用する余地はない

2 これに対して、Xは、更新に合理的期待があったとして、①Y社が、採用面接や新任研修時に、元気であればいつまででも働いてもらってよい、F社K店では75歳を過ぎても元気で頑張っている人がいるなどの発言をしたこと、②Y社が、本件雇用契約の次回の更新後の日に予定されている警備員現任教育受講案内をXに送付したこと、③Dが、平成25年1月のシフト表の変更を命じなかったり、Xが同月1日及び2日に出勤したにもかかわらず、強い指導をしなかったこと等と主張する。
しかし、①については、Y社代表者は、そのような発言をしたことを否定しており、また、Y社が当時から、ISO9001の認証を受けており、その登録継続や競合他社との競争力の強化のために、正社員の構成比率を高め、若返りを図ることを進めていたと推認されるところ、Y社代表者が、Y社の企業方針に沿わない趣旨の言動をするとは考えにくい。また、②については、Dが甲7の送付は、単にY社本部における事務手続き上の間違いに過ぎない旨の供述をしていることに照らせば、上記の事実を過度に評価すべきではない。さらに、③については、Dは、既に、平成24年9月に、Xに対し、本件雇止めについて告げていること、平成25年1月分のシフト表にXが記載されていることに気付かなかったこと、平成25年1月1日、2日に、Xに対し、出勤の必要はない旨を重ねて述べていることは、上記認定のとおりである。したがって、Xの上記主張は、いずれも採用することができない。

有期雇用の場合は、雇用期間満了ごとに、自動更新にせずに、しっかりと新たに雇用契約書を作成することが大切です。

また、雇止めに期待を抱かせる言動は安易にしないことが大切です。

加えて、過去の裁判例を研究し、裁判所が重要視している点を頭にしっかり入れておくことが求められます。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介524 凡人と成功者を分ける「紙一重」の習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
凡人と成功者を分ける「紙一重」の習慣

著者曰く、成功者とそうでない者との日常生活における習慣の差は、「紙一重」だそうです。

大きな違いがあるように思えるのですが、実は、小さな違いの積み重ねにより、結果として大きな違いになっているのだと。

私もそのとおりだと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

偉大な人物には目標があるが、平凡な人物には願望があるだけだ。」-ワシントン・アーヴィング(小説家・エッセイスト)(48頁)

「こうなりたい」と思うことは、誰でもできます。

「こうなりたい」と思い、実際に準備ができる人は、それほど多くありません。

強く願うことだけでは、目標は達成できません。

日々の生活の中で、その願う場所に向かって歩き続けなければなりません。

毎日の小さな小さな積み重ねを大切にできるかどうかで、人生は大きく変わってくるのだと確信しています。

セクハラ・パワハラ17(M社事件)

おはようございます。

今日は、パワハラを理由とする降格処分が有効とされた裁判例を見てみましょう。

M社事件(東京地裁平成27年8月7日・労経速2263号2頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に現在も勤務するXが、過去のパワーハラスメントを理由にY社から降格処分を受けたところ、同処分が違法・無効であるとして、同処分の無効確認を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの一連の言動は、一般仲介事業グループ担当役員補佐の地位に基づいて、部下である数多くの管理職、従業員に対して、長期間にわたり継続的に行ったパワハラである。Xは、成果の挙がらない従業員らに対して、適切な教育的指導を施すのではなく、単にその結果をもって従業員らの能力等を否定し、それどころか、退職を強要しこれを執拗に迫ったものであって、極めて悪質である

2 部下である従業員の立場にしてみれば、真面目に頑張っていても営業成績が残せないことはあり得ることであるが、さりとて、それをやむを得ないとか、それでも良しとは通常は考えないはずである。成績を挙げられないことに悩み、苦しんでいるはずである。にもかかわらず、数字が挙げられないことをただ非難するのは無益であるどころか、いたずらに部下に精神的苦痛を与える有害な行為である。部下の悩みを汲み取って適切な気付きを与え、業務改善につなげるのが上司としての本来の役目ではないかと考える。
X自身も営業職として苦労した経験はあるだろうし、それを基に、伸び悩む部下に気付きを与え指導すべきものである。簡単に部下のやる気の問題に責任転嫁できるような話ではない。証拠調べ後の和解の席で、Y社から「退職勧奨」を受けたことは当裁判所に顕著な事実であるが、これをもってようやく部下らの精神的苦痛を身をもって知ったというのなら、あまりに遅きに失する。

3 Y社は、パワハラについての指導啓発を継続して行い、ハラスメントのない職場作りがY社の経営上の指針であることも明確にしていたところ、Xは幹部としての地位、職責を忘れ、かえって、相反する言動を取り続けたものであるから、降格処分を受けることはいわば当然のことであり、本件処分は相当である。

裁判官が「上司はこうあるべき」ということについて熱く語っています。

上司のみなさん、是非、参考にしてください。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介523 心をひらく(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
心をひらく

このブログでも紹介したことのある「成功の9ステップ」、「お金の科学」、「100%」、「原則中心」などで有名なジェームス・スキナーさんの本です。

今回の本は、松下幸之助さんの考え方、教えを著者なりに解釈した内容となっています。

著者の本は、いつも参考にしています。 とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

キリスト教の教典の中に次のように書いてある。『信仰が試されてからでないと、何の奇跡も与えられない』まさにその通りだと思う。
プロボクシングの世界チャンピオンだったモハメド・アリはこう表現した。『腹筋の回数を数えていない。痛くなってから、初めて数え出す。効果が出るのは、それからなのだ』」(82頁)

この文章、どのように解釈するかは人それぞれだと思います。

困難な状態を避け、できるだけ平穏な生活を望むのは決して悪いことではありません。

ただ、奇跡を起こしたり、一番になりたいと望むであれば、普通の考え方、普通の生活を送るわけにはいきません。

ぎりぎりの状態にまで自分を追い込み、あえて苦しい道を選ぶことを常とする。

誰もができることではありませんが、短い人生の中で、何かを成し遂げたいと願う人は、普通の人には真似できない強い意志を持っているのです。