Monthly Archives: 12月 2015

本の紹介503 40歳からはカラダで差がつく!エリートの最強コンディショニング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
40歳からはカラダで差がつく! エリートの最強コンディショニング

食事を中心とした生活習慣について、具体的に注意点をレクチャーしてくれています。

良かれと思ってやっている行動が実は誤解や間違いであることを指摘しています。

とても勉強になります。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

少し前に人気のホテルを手がける星野リゾートグループの求人広告が話題になりました。・・・『大変申し訳ございませんが、星野リゾートグループでは喫煙者は採用しておりません。それが企業競争力に直結している課題であるからです』 なぜ喫煙は、競争力の足を引っ張るのでしょうか?まず、血液中のニコチン含有量の減少により集中力を持続できないため、作業効率が悪い。そして社員の喫煙場所の維持に投資するのは利益を圧迫するから。そして喫煙社員だけが頻繁に休憩が認められることへの不公平感を挙げています。・・・どんな学歴や経歴があっても、タバコを吸っていたら一発アウトの時代の幕開けなのかもしれません。」(86~87頁)

喫煙者についてどうこう言うつもりはありませんが、私の事務所も喫煙者は採用しておりません。

この本で書かれているようなことまで深く考えてのことではありませんが、やはりタバコを吸わない人間からすると、頻繁にタバコ休憩をしている姿を見ると違和感を感じるのが正直なところです。

1時間に1度、5~10分のタバコ休憩(喫煙スペースまでの往復時間を含む)を考えると、タバコを吸わない人間が不公平感を感じてしまうのも無理はないように思います。

解雇190(ホンダエンジニアリング事件)

おはようございます。

今日は、賞罰委員会に諮ってなされた懲戒解雇は弁明の機会を付与しなくても手続的に違法はないとされた裁判例を見てみましょう。

ホンダエンジニアリング事件(宇都宮地裁平成27年6月24日・労経速2256号3頁)

【事案の概要】

Xは、Y社の従業員であったところ、Y社から懲戒解雇にされたものであるが、Xには懲戒解雇事由がなく、また、懲戒解雇手続が違法であることや懲戒解雇が処分として重すぎることからすると、懲戒解雇の相当性を欠くため無効であり、Xは自らの意思で辞職したものであるとして、退職一時金82万8255円の支払いを求め、在職中にY社の職員から受けたとして、慰謝料150万円の支払及びこれらの合計232万8255円に対する労働審判申立書が到達した日の翌日からの遅延損害金の支払を求めている。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、平成25年5月28日から8月1日までの間、上司からの業務命令に従わず、指示された業務に従事しなかったものであるから、故意に業務を放棄したものであり、このような行為は、就業規則・・・との懲戒事由に該当するものと認められる。また、Xは、平成25年6月12日から8月1日までの36日間、無断欠勤を続けたものであり、このような行為は、就業規則・・・に該当するものと認められる

2 Xは、上司からの度重なる業務命令に従わず、36日間無届欠勤を継続したものであるから、懲戒事由の程度は重大であって、懲戒解雇が相当性を欠くものということはできない

3 Xは、Y社がXに弁明の機会を与えないで懲戒解雇を言い渡したとして、適正手続保障の観点から、懲戒解雇の相当性の要件を欠くと主張する。しかし、Y社の就業規則において弁明の機会を与える旨の規定は置かれておらず、懲戒をするに当たっては、労使の代表者で構成する賞罰委員会の意見を聞くこととされているところ、このような場合、弁明の機会を付与しないことをもって直ちに懲戒手続が違法ということはできない。そして、本件においては、賞罰委員会に諮って本件懲戒解雇がなされているものであるから、手続に違法な点があるということはできない

4 そうすると、本件懲戒解雇は有効なものと認められるから、労働協約80条2項により、Xは退職金請求権を有しないものと認められる。

懲戒解雇の場合、必ずといっていいほど適正手続が問題となります。

上記判例のポイント3は是非、実務において参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介502 神の手のミッション 福島孝徳(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
神の手のミッション 福島孝徳 すべてを患者さんのために捧げた男

私が陰ながら尊敬する福島先生に関する本です。

福島先生の仕事に対する情熱は、人に感動を与えます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

Dr福島はとにかく休まない。『1週間8日働く』と宣言し、土日、祭日も仕事で、夏休みなし、暮正月も関係ない。集中力を要求される手術の連続で、疲れがどんどん蓄積しそうな毎日だが、Dr福島は『忙しくて疲れなんて感じている暇はない』と笑い飛ばす。『私が手術しないと治らない』患者さんがたくさん待っているのに、休むとかバカンスとか言っていられません。風邪なんかひいている暇もありません』」(182頁)

みなさん、福島先生の「忙しくて疲れなんて感じている暇はない」という言葉、理解できますか?

福島先生も人間ですから、疲れないはずはないと思うのです。

それでもなお、なぜこのようなことを言うのか。

それは、きっとこのような発言をすることで、自分を鼓舞しているのだと思います。

「1週間8日働く」という言葉も「風邪なんてひいている暇はない」という言葉も、また、「人の2倍働き、3倍努力する」という言葉もみんな自分を鼓舞するためなのではないでしょうか。

自分の力を頼り、自分のことを待っている患者さんがいるかぎり、休んではいられないという気持ちなのでしょう。

仕事こそ違いますが、本や映像を通じて、福島先生から「本当のプロフェッショナル」とはどういうものかを学んでいます。

有期労働契約58(中外臨床研究センター事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有期労働契約の更新拒絶が有効された裁判例を見てみましょう。

中外臨床研究センター事件(東京地裁平成27年9月11日・労経速2256号25頁)

【事案の概要】

Xは、Y社に対し、有期労働契約の更新拒絶が権利の濫用に当たるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、前記労働契約に基づき、未払賃金及び賞与合計864万円、平成24年1月から毎月25日限り賃金月額27万円及び遅延損害金、平成24年から毎年6月末日及び12月末日限り賞与54万円及び遅延損害金の支払を求めている。

【裁判所の判断】

本件訴えのうち、本判決確定の日の翌日以降の金員の支払を求める部分に係る訴えを却下する。

その余の請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件労働契約は、1回更新され、その期間は通算して3年10か月である一方、LDM業務とは、・・・何らの訓練も要さずにY社に入社して即時に処理可能なものとは認められないものの、なお中外製薬からの出向社員が担当する薬剤の臨床開発と比較すると、なお周辺的、定型的な性質を有する業務であると認められる
そうすると、本件労働契約が、その契約期間の満了時に本件労働契約を更新しないことにより本件労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより、当該労働契約を終了させることと社会通念上同視できる事情があるとは認められない。もっとも、Xにおいて本件労働契約の契約期間の満了時に本件労働契約が更新されるものと期待することには合理性があるものと認められるが、前記のとおりの本件労働契約の更新の回数及びXの業務の内容に照らせば、前記合理性を高いものと評価することはできない

2 ・・・Xには、Y社における業務の中で、自らの注意不足、周囲とのコミュニケーションに対する拒否的反応が散見され、これに起因する多数の過誤が発生していたものと認められる。
そして、これらの過誤は、個々に検討する限りでは、Xが主張するとおり、軽微なものと評価すべき事実も散見されるものの、これらが繰り返された回数、頻度及び平成18年3月から平成21年12月までの間、特段の改善傾向が見受けられないことに照らせば、Xの業務態様は芳しいものとは認め難いのであって、これに反するXの主張は理由がない。

3 以上の検討によれば、本件更新拒絶には、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められない事情はないというべきである。

有期雇用契約の雇止めの有効性を判断する場合、上記判例のポイント1で示されているとおり、業務の性質を検討する必要があります。

通常の解雇の場合とは少し異なる視点が加わるので、その点を忘れないようにしましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介501 年収の伸びしろは、休日の過ごし方で決まる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
年収の伸びしろは、休日の過ごし方で決まる ズバ抜けて稼ぐ力をつける戦略的オフタイムのコツ34

タイトルがそのまま結論ですね。

帯には、「日曜日こそ早起きする」「趣味にコーチをつける」「枕と私服に投資する」と具体例が書かれています。

上の例を見る限り、異論がある方もいると思いますが、いずれにせよいかに休日を過ごすかで他の人との差が付くこと自体は間違いないでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

オフタイムとオンタイムは表裏一体です。できる人、稼いでいる人は、オフタイムを完全なる機能停止状態の”ダウンタイム”にしません。ただ漠然と時間をやり過ごし、弛緩するだけのオフにしない。それは、そこから得られる経験値と情報の重要さを知っているからです。ならば漠然と楽しむだけ、頭と体を緩めるだけのオフから、『自己鍛錬』というプラスアルファを意識したオフへと切り替える。」(204頁)

こういう考え方、大好きです。

休日を「自己鍛錬」の時間に使うという発想、私は大賛成です。

休日こそ、日頃は忙しくてなかなかできない分野について自己鍛錬をするのです。

ジムに行って体を鍛えるのもいいでしょうし、全く違う分野の勉強をするのもいいでしょう。

とにかく1日中ぐーたらして、気づいたら夜になっていたという時間の使い方は避けたいわけです(たまにしたくなるときはありますが)。

そんなことをしている時間はないのです。

人生は思っているほど長くないのです。

不当労働行為127(ブリタニカ・ジャパン事件)

おはようございます。

今日は、申立外会社を解雇された組合員の解雇撤回等を議題とする団交に会社が応じなかったことが不当労働行為にあたらないとされた命令を見てみましょう。

ブリタニカ・ジャパン事件(中労委平成27年6月3日・労判1119号94頁)

【事案の概要】

本件は、申立外会社を解雇された組合員Aらの解雇撤回等を議題とする団交に会社が応じなかったことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない。

【命令のポイント】

1 Y社らは、事業目的や事業内容、代表取締役、本店所在地等を異にし、それぞれ別個独立に事業を行っていた別法人であり、直接の資本関係や取引関係はなかった上、従業員の採用・解雇や労働条件の決定、従業員に対する指揮命令等もそれぞれ独自に行っていたものであり、Y社が、N社の事業運営に関与していた事実も認められない
そうすると、組合が指摘する事実を考慮しても、Y社らが、実質的に同一性のある企業であると認めることはできない

2 団体交渉においてその解雇が主な議題となっていたA1組合員が従事していた英会話教室事業は、Y社に承継されておらず、Y社らの間で、N社とその従業員との間の契約関係を全体としてY社が承継する旨の合意もなされていないことなどからすれば、Y社とN社との間で、会社分割等救済命令を受けるべき地位を含めた法律関係を承継する効果をもつ合意あるいは手続がなされていないことは明らかである。

労組法上の使用者性が否定された事例です。

上記命令のポイント1のような事情を考えれば当然の結果です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介500 ストックビジネスの教科書(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
ストックビジネスの教科書

「ストックビジネス」、「フロービジネス」という言葉が登場します。

ビジネスのストック化を図りましょうというお話です。

リース事務機、携帯電話、スポーツクラブ、機械警備などなど。

ストックビジネスの例を挙げだしたらきりがありません。

ビジネスをフローからストックへ転換することが大切だと著者は言います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私には、ずいぶん前から習慣にしていることがあります。それは、電車に乗ったときに、必ず社内広告に目を通すことです。それも、漫然と目を通すわけではありません。広告のほとんどは、何らかのビジネスが絡んでいます。そのビジネスに『ストック性』があるかどうかを意識的にみるようにしているのです。」(68頁)

こういう意識を日頃から持つか持たないかで結果が大きく変わるというわかりやすい例ですね。

セミナーを受けるにしても同じことが言えるのではないでしょうか。

ある人は、会社からの指示でやむなく参加し、ある人は1つでもいいから現場に取り入れられるものはないかという意気込みで参加する。

セミナーに参加すること自体は同じでも、その効果が大きく異なるのは当然のことです。

結局は、意識・やる気の問題です。

意識・やる気の有無により必然的に差はどんどんどんどん広がっていくわけです。

有期労働契約57(日本レストランエンタプライズ事件)

おはようございます。

今日は、職種限定の有期契約労働者に対する雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

日本レストランエンタプライズ事件(東京高裁平成27年6月24日・労経速2255号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社から雇止めされたXが、同雇止めが無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と、雇止め後の賃金及び遅延損害金の支払を求める事案である。

原審は、Xの請求を棄却したので、Xが控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xは、就業規則上勤務箇所や職場の変更が可能とされていたと主張する。
しかし、XとY社の雇用契約上は、職種は本件配送業務に限定されていたことは争いがないのであるから、Y社に、Xの職種を変更して雇用を継続するよう配慮する義務があるとはいえない

2 Xは、肩腱板断裂は労働災害であり、雇止めの可否については慎重に検討すべきであると主張するが、Xにおいて労働契約で限定された職務の遂行が困難である上、当直業務は独立の配置換えの対象となるような業務とはいえないなど、本件における事情を総合すると、労働基準法19条1項の解雇制限の趣旨が本件のような場合にまで及ぶとはいえない

(原審での判断)

3 XとY社との雇用契約に基づき、月に20日以上、1日平均7時間以上勤務していたのであり、勤務形態は臨時的なものでなかったと認められる。そして、XとY社の間では、本件配送業務を目的とする雇用契約が約5年6か月にわたり多数回更新されてきたことからすれば、Xには契約更新の合理的期待(労働契約法19条2号)が認められる
ただ、雇用期間の定めが明示された契約書が更新の度に作成されていたのであり、XとY社の雇用契約が期間の定めのない契約と同視できる状態(労働契約法19条1号)に至ったとまでは認められない

4 Xは、本件雇止めの時点で、本件配送業務に従事できる状態ではなかったと認められる。Xは、Y社との間の雇用契約においてXが従事すべき業務として定められた本件配送業務に就くことができない状態であったので、Y社が契約を更新しなかったことについて合理性・相当性が認められる

労災発生時に雇止めをすることには躊躇する場合もあろうかと思います。

当然のことながら、ケースバイケースで判断していかなければなりませんが、仮に雇止めをする場合には、上記判例のポイント2を参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。