Daily Archives: 2015年12月11日

不当労働行為128(日本IBM事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、予定されていた団交議題に組合員6名の解雇問題を追加するよう求める組合の申入れに応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。

日本IBM事件(中労委平成27年6月17日・労判1119号93頁)

【事案の概要】

本件は、予定されていた団交議題に組合員6名の解雇問題を追加するよう求める組合の申入れに応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、9.21団体交渉において、組合による・・・要求書の趣旨説明や抗議に対して一応の対応をしているものの、その内容は、具体的な説明を行わないまま結論のみを述べるものであったり、抽象的かつ同一の内容は、具体的な説明を行わないまま結論のみを述べるものであったり、抽象的かつ同一の内容の説明を繰り返すものであったということができ、また、Aら6名が自主退職を選択するかどうかについて重要な要素である解雇理由や自主退職の場合の条件についても具体的に明らかにせず、A4ら6名に対する解雇予告通知問題については、そもそも9.21団体交渉における協議対象とはしないとの姿勢に固執していたのであるから、9.21団体交渉において同問題に関する実質的な協議を行うという組合の申入れの目的は達せられていないというべきである。

2 以上によれば、Y社は、組合の指定した9.21団体交渉において、A4ら6名に対する解雇予告通知問題を議題として実質的に協議すべき義務があったにもかかわらず、同問題について実質的な協議を行わず組合の申入れに応じなかったのであるから、このようなY社の対応は、労組法7条2号の不当労働行為に該当するというべきである。

使用者側がどこまで具体的に回答したらよいのかは、実際のところ、判断が難しい場合があります。

具体的に回答しても特段支障がない場合は問題ありませんが、そうでない場合には、どこまで回答すべきについて検討しなければなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。