Daily Archives: 2015年12月3日

不当労働行為127(ブリタニカ・ジャパン事件)

おはようございます。

今日は、申立外会社を解雇された組合員の解雇撤回等を議題とする団交に会社が応じなかったことが不当労働行為にあたらないとされた命令を見てみましょう。

ブリタニカ・ジャパン事件(中労委平成27年6月3日・労判1119号94頁)

【事案の概要】

本件は、申立外会社を解雇された組合員Aらの解雇撤回等を議題とする団交に会社が応じなかったことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない。

【命令のポイント】

1 Y社らは、事業目的や事業内容、代表取締役、本店所在地等を異にし、それぞれ別個独立に事業を行っていた別法人であり、直接の資本関係や取引関係はなかった上、従業員の採用・解雇や労働条件の決定、従業員に対する指揮命令等もそれぞれ独自に行っていたものであり、Y社が、N社の事業運営に関与していた事実も認められない
そうすると、組合が指摘する事実を考慮しても、Y社らが、実質的に同一性のある企業であると認めることはできない

2 団体交渉においてその解雇が主な議題となっていたA1組合員が従事していた英会話教室事業は、Y社に承継されておらず、Y社らの間で、N社とその従業員との間の契約関係を全体としてY社が承継する旨の合意もなされていないことなどからすれば、Y社とN社との間で、会社分割等救済命令を受けるべき地位を含めた法律関係を承継する効果をもつ合意あるいは手続がなされていないことは明らかである。

労組法上の使用者性が否定された事例です。

上記命令のポイント1のような事情を考えれば当然の結果です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。