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今日は、専属下請運転手である組合員の定期健康診断を議題とする団交に応じなかったことが不当労働行為にあたらないとされた命令を見てみましょう。
丙川商店事件(大阪府労委平成27年6月26日・労判1119号92頁)
【事案の概要】
本件は、X組合がY社に対し、組合員の健康診断を議題とする団交を申し入れたところ、Y社が団交応諾義務がないと考え団交に応じないとしたことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にはあたらない。
【命令のポイント】
1 専属下請運転手は、契約上は会社の管理下にあり、会社から割り振られた業務を孫請けに出すことはできないとされていることが認められる。しかしながら、実際には、専属下請運転手の中に親族等の仕事を行う者や株式会社が認められるのであって、毎日業務を行う者もいれば、2、3日に1回程度業務を行う者もいて、年間総報酬額については約330万円から約970万円まで幅のあるとおり、専属下請運転手は、いつどの程度働くか働き方について自らの意思により決定することができるといえるのであって、また、使用するトラックのリース料等経費を負担し、報酬から社会保険料等の控除はなされておらず、自らが確定申告を行っているのであるから、専属下請運転手には、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し、自らリスクを引き受けて事業を行う者としての一定の事業者性があるといえる。
2 ・・・以上を総合勘案すると、専属下請運転手であるA組合員は、会社との関係において、労働組合法上の「労働者」に当たるとまでいうことはできない。
専属下請運転手の労組法上の労働者性が否定されています。
裁判所がどのように判断するか注目されます。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。