おはようございます。
今日は、組合員2名に対してマネージャー職を解き、配転したことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。
ロイヤル事件(中労委平成27年2月4日・労判1117号95頁)
【事案の概要】
本件は、理美容業務を営むY社が、組合員Xら2名に対して、マネージャー職を解き、カット、シャンプー、パーマおよびカラー等のフルサービスを行う店舗から、カットおよびシャンプーにサービスを限定した店舗へ配置転換したことが不当労働行為にあたるとして、組合が、大阪府労委に救済申立てを行った事案である。
初審は不当労働行為にあたると判断した。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる。
【命令のポイント】
1 本件において、Xらは、男流散髪屋への配置転換を希望しておらず、むしろ希望に反することが明らかであるにもかかわらず、フルサービス店の店長(マネージャー)から、スタイリストとして男流散髪屋の一従業員へと配置転換されたのであるから、Xらが、本件は移転により、キャリア上、人事上の不利益や、これに伴う精神的な不利益を受けたことは明らかであるというべきである。
2 本件人事異動は合理的なものであったとは認められないこと、さらに、Y社が、組合に対し、絶対に許さないくらいの気迫をもって対決する姿勢を明らかにした上で、Xらが別件未払賃金請求訴訟を提起した僅か1か月後に、本件人事異動を内示するに及び、その際行われた団交においても、組合の街宣活動を理由に本件人事異動を行う旨を述べていたこと等を併せ考えれば、本件人事異動は、正にXらが組合の組合員であることの「故をもって」行われたものといわざるを得ない。
3 X2は、既に退職しているが、X1については、現に会社に在職中であるところ、Y社が、同人や組合に対して本件復職通知を行い、27年1月1日付けで店長に就任させるとともに、初審で命じられた文書手交を履行する旨を伝えたのに対し、組合が、団交において、本件復職通知の撤回を求めたことなどから、上記各通知の内容はいずれも履行されていないのが現状である。
そうすると、組合が本件人事異動により被った団結権侵害の状況が解消されたとはいえないのであって、本件における組合の救済利益は、未だ失われていない。
4 本件人事異動は、不当労働行為として行われたものであるから、これをなかったものとし、原職又は原職相当職に復帰させるよう命じることとする。ただし、X2は既に会社を退職していることから、原職又は原職相当職への復帰を命じるのは、現に会社に在職中のX1のみとするのが相当である。
上記命令のポイント2の下線部の事情については、是非、反面教師にしてください。
組合には組合の、会社には会社の交渉のしかたがあります。
そのあたりをうまくやっていかないと、有利に交渉を運ぶことはできません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。