おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、再雇用時の業務変更と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
本能寺文化会館事件(京都府労委平成27年3月3日・労判1115号92頁)
【事案の概要】
本件は、備品管理室長であった組合員Xに対し、定年退職後の継続雇用の業務としてパーキング管理を提示したことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にはあたらない。
【命令のポイント】
1 組合らは、Xが本館及び西館から完全に独立した駐車場管理室での一人勤務となり、本館ロビーの通行も禁止され、他の従業員との接触を断たれたため、組合活動上の不利益を被っていると主張する。
確かに勤務時間中の他の従業員との接触の機会は減少したかもしれないが、接触の機会が絶たれたわけではなく、勤務時間外も含めれば、他の従業員との接触に大きな支障が生じているとはいいがたい。また、組合らからは、本件処分により、機関の会議や情報宣伝活動等具体的な組合活動について何らかの支障が生じたとの主張や立証はない。
したがって、組合活動上の不利益取扱いであるとまでは認められない。
2 以上、検討したところによれば、本件処分は不利益取扱いに当たるとまではいえない。組合らは、本件処分はXの自負と誇りを傷つけるものであるとも主張しており、従来Xは継続して本館及び西館外に位置していることやX以外に継続雇用制度を適用された者が定年時と引き続き同じ業務に従事し同等の肩書を得ていることから、Xが、本件処分により自負と誇りを傷つけられたと感じたことがうかがえなくはない。しかしながら、単に本人の主観的な感情のみをもって不利益取扱いとはいいがたく、本件の審査に顕れた主張、立証をもってしては、本件処分に未だ客観的に労組法7条1号の不利益取扱いに当たると判断し得る不利益性があるということはできないので、本件処分は労組法7条1号の「解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること」に該当すると認めるには足りない。
定年退職後の継続雇用における業務内容に変更があった事案です。
不当労働行為として争われるのは、非組合員と組合員とで扱いが異なり、かつ、その違いに合理的理由が認められない場合です。
差別的な取扱いだと疑われないように気を付けましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。