Monthly Archives: 9月 2015

本の紹介474 山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル

著者は未来工業創業者の山田社長です。

昨年、お亡くなりになられましたが、ユニークな経営で有名な社長ですね。

社長の経営に関する考え方がぎっしりつまっており、とても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

売れないのは差別化が足りない証拠。不景気のせいにする人は、何回生まれ変わっても稼げない。
できない営業マンに限って、『不景気なので・・・』と言い訳をしたがる。『売れないのは自分の実力不足』と認められる人は驚くほど少ない。だけど、できる営業マンは、どんなときでも、きちんとした売上げを残すものだ。」(158頁)

「不景気のせいにする人は、何回生まれ変わっても稼げない」(笑)

確かに、どれだけ不景気でも、できる営業マンは、ちゃんと結果を出していますよね。

「不景気」と言った時点で負けですよね。

もう自分にはどうしようもない理由により売上げが伸びない、と結論付けてしまっているわけですから。

そう言った時点で、改善可能性はなくなるわけです。

だって、自分ではなく、不景気のせいなんだから。

「だって、しょうがないじゃないか~」(えなり君風)

いつだって売れない理由は自分にあるのです。

そう思うところからしか先にはすすめないのです。

賃金100(サンテレホン事件)

おはようございます。

今日は、東京本社で勤務していた者の賃金不払等の事件につき、大阪地裁から東京地裁への移送が認められた事件について見てみましょう。

サンテレホン事件(大阪地裁平成27年3月25日・労経速2249号3頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社に対し、Y社の事業所で働いていた間の時間外労働に対する未払賃金及び賃金不払等を内容とする債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として基本事件の提起に要した弁護士費用相当額の損害金の支払いを求める事案である。

Y社は、民事訴訟法16条1項又は17条により基本事件を東京地方裁判所に移送すべきである旨主張している。

【裁判所の判断】

東京地方裁判所へ移送する。

【判例のポイント】

1 基本事件においては、本件未払賃金の存否に関し、XにおけるY社の就労実態が主たる争点となることが予想されるところ、Xは、本件雇用契約の期間を通じ、東京本社において就労していたのであるから、Xの就労実態を知る者やXの就労実態に関する検証物で移動が困難なものは、Xが就労していた東京本社ないし東京地方裁判所の管轄区域内に所在すると考えられる一方、一件記録上、大阪地方裁判所の管轄区域内には、Y社を除き、Xの就労実態を知る者や上記のような検証物があることはうかがわれない

2 ・・・加えて、Y社の就業規則には、賃金の支払方法につき、「給与は全額を、原則、通貨にて直接本人に支払うが、本人が希望する場合には、本人が指定する銀行その他金融機関の本人名義預貯金口座へ振り込むことにより、支払うことができる」(給与規程4条1項)とあるほかに特段の定めはなく、相手方の賃金はその指定する銀行口座への振込みにより支払われていたこと、相手方は、大阪地方裁判所の管轄区域内に事務所を有する弁護士を代理人として選任し、基本事件の提起遂行を委任しているが、争点及び証拠の整理は電話会議システムを使用して行うことも可能であることをも併せ考慮すれば、Xの指摘する、Xが一給与所得者にすぎないことやY社の事業規模といった事情を考慮してもなお、基本事件を東京地方裁判所に移送する必要があると認められる。

実務上、管轄裁判所の問題はとても重要ですが、本件のような場合には、やはり東京地裁への移送が認めるのが相当です。

是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介473 負けない力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
負けない力

帯には「あなたはいつも勝とうとして間違えてばかりいる」と書かれています。

完全にタイトル買いさせられてしまいますね(笑)

出版社に負けました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『他人の知性が理解出来ない』というのは、その当人の中に知性がないということです。『俺はだいたいのことなら分かるぞ、頭がいいんだぞ』と言っている人が、自分以外の人の『まともな意見』が理解出来ないというのはよくあることで、そこには『あいつなんかが俺より頭のいいはずはない』という嫉妬も隠されていたりはするのですが、結局は『他人の知性』が認められないのです。いくら『頭がいい人』ということになっていても、『他人の知性』が認められない人に知性はないのです。」(192頁)

他人の生き方、考え方、やり方が自分のそれと違うことを認められる人は、強い人ですね。

とかく人は、自分のやり方に相手を合わせようとしがちです。

他人が、自分と「違い」がある場合、それを「間違い」と決めつけてしまいがちです。

「自分が正しい」という勘違いが、その原因です。

クレバーな人は、相手を自分に合わせるのではなく、自分が相手に合わせられる人です。

なんでも受け入れられる器の大きさこそが強さなのです。

退職勧奨13(F社事件)

おはようございます。

今日は、顧問弁護士による退職強要の違法行為は認められないとして損害賠償請求を棄却した裁判例を見てみましょう。

F社事件(東京地裁平成27年1月29日・労経速2249号13頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、Y社の営業開発本部長として勤務していたXが、Y社の顧問弁護士から不当に退職を強要され、退職せざるを得なくなったところ、当該退職強要が不法行為に当たり、当該不法行為によりXはY社から賃金を受領する権利を失い、また、精神的な損害を被ったと主張し、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償として①1年分の賃金相当額2400万円及び②慰謝料1000万円及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社が賃借人となり、Xが社宅として使用すべき本件マンションについて、Xの家族ではない女性を居住させており、かかる事実を指摘されたXは、これを認め、更に、このことがXによるY社の資金の私的流用に当たる旨C弁護士に指摘された上、更に他にもY社の経理処理に不正があるかもしれないので、Y社において調査を続行する旨説明された中で、C弁護士の求めに応じ、Y社があらかじめ用意していた書誌を使用し、Y社を退職する旨の意思表示を行った、というものである。
・・・本件面談後のXとC弁護士とのやり取りに照らすと、XはC弁護士に対して終始協力的な態度を見せており、これが、退職を強要した当の本人に対する態度であると理解することは困難である

2 結局、Xは、本件面談当時にC弁護士からの指摘により、本件マンションの使用方法が法的に問題となる可能性が高いものと認識し、かつ、この件のみならず、自らが本件会社の代表取締役であった頃の経理処理に幾つも問題(Xによる資金流用)のある可能性を指摘され、現在Y社において調査中であるという中で、XがY社において就労を続けるには、通常、困難を来すであろう状況が発生していることに鑑み、利害得失を考慮の上、自らの判断で退職することを決意したものとみるのが自然である

3 ここで、Xは、退職の意思表示をしなければ解雇されていたはずであり、退職勧奨の際には解雇事由が備わっている必要があるが、解雇事由が存在しないとも主張する。しかし、そもそも、本件面談においてY社はXに対し、解雇の可能性があることを全く述べていない。また、Y社においてあらかじめ退職届の用紙を用意していたこと等に照らしても、Y社がこのときXを解雇することまで予定していたとまでは認めるに足りず、Xの上記主張は採用の限りでない。

顧問弁護士が会社の代理人として退職勧奨をする場合、やり方如何によっては、(敗訴リスクはさておき)弁護士自らが訴訟当事者になる可能性(訴訟リスク)がありますので、注意が必要です。

今回のケースでは、特に退職を強要したと見られる事情はなかったため、損害賠償請求は棄却されています。

本の紹介472 私の生活流儀(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
私の生活流儀 (実業之日本社文庫)

著者は、1866(慶応2)年、埼玉県生まれの学者の方です。

独自の蓄財投資法と生活哲学を実践して莫大な財産を築き、定年退官後、全財産を匿名で寄付したそうです。

そんな著者が、自身の健康法や勉強法、蓄財法等、生活流儀を紹介してくれています。

とてもおもしろいですよ。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

毎朝目が覚めれば、まずきょうも生きておったなと感謝するのである。忙しければ忙しいほど、自分がよけいに働けることを感謝するのである。そうしてまた、もしちょっとした病気にでもなれば、天が休息の機会を与えてくれたものと解釈して、しずかに天意に従うのである。これが、私の暮らし方・考え方の根本義なのである。底抜けの楽天とわらうなかれ。世の中のこと、それかといって、底抜けの悲観ばかりでも始まらないではないか。」(157~158頁)

これを「プラス思考」、「ポジティブシンキング」とまとめてしまうのは簡単なことですが、これを人生をかけて常に心がけることこそが幸せに生きる秘訣なのだと思います。

どんな状況、状態でも愚痴を言わず、感謝できる。

今の状況は、きっと何かを学ぶために設定されているのだと思う。

こんな考え方の習慣が、成功へ近づけてくれるのだと信じています。

配転・出向・転籍26(西日本鉄道(B自動車営業所)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、職種限定採用のバス運転士に対する職種変更の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

西日本鉄道(B自動車営業所)事件(福岡高裁平成27年1月15日・労判1115号23頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社との間で、職種をバス運転士とする職種限定合意を含む労働契約を締結していたが、バス運転士以外の職種としての勤務を命ずる辞令が発せられ、その後、退職したため、Y社によるバス運転士以外の職種への職種変更は無効であると主張して、①労働契約に基づき、Y社に対し、得べかりし賃金と実際の受領額との差額327万5557円及び遅延損害金、得べかりし退職金と実際の受領額との差額37万3304円及び遅延損害金の各支払を求めるとともに、②Y社の従業員から退職を強要されたと主張して、Y社に対し、使用者責任に基づき、慰謝料120万円及び遅延損害金の支払いを求める事案である。

原審(福岡地裁平成26年5月30日)は、Xの請求をいずれも棄却したところ、Xがこれを不服として控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 労働契約が職種限定合意を含むものである場合であっても、労働者の同意がある場合には、職種変更をすることは可能であると解される。しかしながら、一般に職種は労働者の重大な関心事であり、また、職種変更が通常、給与等、他の契約条件の変更をも伴うものであることに照らすと、労働者の職種変更に係る同意は、労働者の任意(自由意思)によるものであることを要し、任意性の有無を判断するに当たっては、職種変更に至る事情及びその後の経緯、すなわち、①労働者が自発的に職種変更を申し出たのか、それとも使用者の働き掛けにより不本意ながら同意したのか、また、②後者の場合には、労働者が当該職種に留まることが客観的に困難な状況であったのかなど、当該労働者が職種変更に同意する合理性の有無、さらに、③職種変更後の状況等を総合考慮して慎重に判断すべきものであると解される

2 まず、Xに係る苦情、責任事故及び指定外運行の件数及び内容並びに本件事故後の所内教育中の状況によれば、Xには、バス運転士として適格性に欠けるところがあったといわざるを得ず、Y社において、Xについて運転士として乗務させることができないと判断したことには相当の理由があり、Xが運転士として乗務を継続することは客観的に困難であったといえる

3 そして、本件職種変更に至る経緯、すなわち、①本件事故後、A所長は、Xとの面談の際、繰り返し退職を勧め、懲戒解雇の可能性を示唆したこともあったものの、上記面談には、西鉄労組のH分会長らも同席しており、Xは、同分会長から、職種変更の場合の待遇等を含めて助言を受け、同所長に対して、一貫して職種変更の希望を述べていたこと、②そのため、Xと同所長の話し合いは平行線のままで、4月11日までには打ち切られ、Xの処遇はD課に委ねられることになり、Xは、同日、同課係員から、Xの処遇について未だ判断されていない旨の説明を受けたこと、③Xは、4月15日までに、弁護士に相談して、A所長らの対応に抗議させ、バス運転士への復帰を申し入れさせた上で、同月19日、C課長との面談に臨み、同課長に対し、運転士として継続したいが、それが難しいのであれば、別の部署で仕事を続けたい旨申し入れたこと、④同課長から、運転士として乗務させることはできないと告げられ、職種変更して他の仕事に就くという「提案」を受け、その際、職種変更の場合の待遇等についても説明を受けたこと、⑤Xは、上記④の「提案」について、4月21日、弁護士に相談した上で、同月22日、C課長に対し、職種変更を希望する旨回答し、本件申出書を作成し、本件職種変更がされるに至ったこと、⑥その後、12月6日まで、Xが本件職種変更について異議を申し出ることはなかったことなどに照らすと、本件同意は明示的または黙示的な矯正によるものではなく、Xの任意によるものであったと認められる。

4 以上によれば、本件職種変更は、Xの任意の同意による有効なものであり、その余の点について判断するまでもなく、賃金差額及び退職金差額の各支払を求めるXの請求はいずれも理由がない。

非常に参考になる裁判例ですね。

いかにして労働者の任意の同意を確保するかがポイントになります。

今回は、組合の分会長や代理人弁護士を同席させたことが、労働者の同意の任意性を判断する上で有効に働いています。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介471 「相談からはじまる営業」ならこんなに売れる!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「相談からはじまる営業」ならこんなに売れる! (DO BOOKS)

「ソリューション営業」という営業の方法が書かれています。

営業が得意な方は、無意識に取り入れている方法だと思います。

要するに、モノを売るのではなく、顧客の問題点を解決することにフォーカスするのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

…ただし、最低限知っておかなければならないこともあります。まず、顧客自身のことを知っていなければなりません。企業とは、何らかの経営戦略を基に動くもので、われわれ営業マンはそのお役に立とうとしています。つまり、顧客の経営戦略、経営方針をきちんと理解していることが営業活動の大前提となるのです。」(32頁)

クライアントを自社の経営戦略、経営方針に合わせるのではなく、

自社がクライアントの経営戦略、経営方針を理解し、それに沿うお手伝いをする。

これがサービスではないでしょうか。

会社の規模が大きくになるにつれ、組織としての柔軟さが失われていくのが一般的です。

会社の規模がむしろマイナスになることもあるのです。

ライバル企業が大企業の場合には、それなりの戦い方があります。

決して大きさだけに目を奪われず、相手が決して真似できないやり方を徹底的に実践するのです。

顧客は会社の規模やブランド力だけで取引先を決めているわけではありません。

規模やブランド力よりも大切なものがあるのです。

それを行動で表すのです。

不当労働行為118(学校法人鶴岡学園事件)

おはようございます。

今日は、理事長、学部長、学科長が団交に出席しなかったことの不当労働行為該当性に関する命令を見てみましょう。

学校法人鶴岡学園事件(北海道労委平成27年4月24日・労判1115号89頁)

【事案の概要】

本件は、理事長、学部長、学科長が団交に出席しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 平成25年4月11日、同年5月23日に行われた団体交渉には、法人側からはG事務局長、H事務局次長外3名が交渉担当者として出席しているが、G事務局長、H事務局次長は、いずれも法人の理事であり、それぞれ25年度の大学の人事に関する事務の担当者として、団体交渉事項に関する経過に関わっており、また、事務局長の地位は、法人の就業規則上、大学学長、高等学校長らと並んで「所属長」と位置付けられていることからすると、G事務局長及びその補佐をする立場のH事務局次長は、法人の見解を説明することができ、かつ、団体交渉に関する権限を法人から委ねられていたということができる
したがって、組合が指定したB理事長、E学部長、F学科長を団体交渉に参加させず、G事務局長、H事務局次長らを交渉担当者としたことをもって団体交渉拒否あるいは不誠実な団体交渉とはいえない。

必ずしも会社の社長が団体交渉に出席する必要はないことがわかります。

反面、交渉権限がない平社員だけが参加することは不当労働行為になりますので注意しましょう。

なお、本事案では、組合員を再雇用しなかった理由を議題とする団交における法人の対応について、説明が不十分であるとして不当労働行為にあたると判断されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介470 凹んだ数だけ強くなれる29の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
凹んだ数だけ強くなれる29の法則

レジリエンスに関する本です。

特に目新しい内容ではありませんが、失敗したときの心の持ち方の参考書ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

どんな逆境下でも絶対にできることがあると信じること。そして、陥っている思い込みの視点を変える技術があれば、どんな困難・逆境も怖くない」(53頁)

逆境下においては、「もうダメだ」ではなく、「まだダメだ」と考えられるだけの精神力が求められます。

どれだけの逆境を経験してきたのかが大きく影響するところです。

失敗をあまりしていない人の弱さというのがこういう場面で出てしまうのです。

数えきれない逆境を乗り越えてきた人は、次にくる逆境も乗り越えてやる、という強い気持ちを持っているはずです。

そういう人は、土壇場に強いですね。