不当労働行為117(学校法人P事件)

おはようございます。

今日は、職場内の言動を理由に組合員の職種を変更し、配置転換を行ったことが不当労働行為に該当するかについて判断した命令を見てみましょう。

学校法人P事件(大阪府労委平成27年2月6日・労判1114号172頁)

【事案の概要】

本件は、職場内での不適切発言を理由に職種変更を伴う配置転換を行ったことが組合員に対する不利益取扱いに当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない。

【命令のポイント】

1 ・・・F組合員は、同人が、生徒、教職員等とトラブルを起こさないことを、二度にわたって、法人に対し約することで教育職員として図書室に勤務するに至ったことが認められる。
6月21日F発言は、このような経過のある中でG司書及びH講師に対して行われた不適切発言であるのみならず、同発言は、図書室において、生徒の前で行われたことが認められ、高等学校、中学校という教育現場において行われた発言であることを鑑みると、F組合員を生徒と接触の多い職場に配置しておくことは是認できないと法人が判断したことをもって不当とはいえない

2 ・・・このようなF組合員の対応をみると、6月21日発言①については、G司書に「おねえさん」といった頻度は記憶力が悪いので覚えていない、「おねえさん」という言葉自体は基本的には丁寧語・敬語の範疇であるとし、不快といわれるのならば不適切ではあったと認め、謝罪し、今後は改めるとしながら法人の解釈には到底同意できず、セクハラ冤罪であるとし、6月21日発言②については、H講師への謝罪で解決しており法人に誓約する必要はないとするものであり、F組合員に真摯な反省がなく、同人は今後も同種の言動を繰り返すおそれが非常に高いと判断した旨の法人の主張は理解できるところである。

3 したがって、法人が、F組合員に対し、本件異動発令を行ったことには相当の理由があるといえる。
以上のとおりであるから、本件異動発令は、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとはいえず、本件申立てを棄却する。

配転命令の合理性が認められるため、不当労働行為にはあたらないという判断です。

学校という職場の特殊性を反映した判断がなされています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。