おはようございます。
今日は、二次下請会社の労組法上の使用者性に関する命令を見てみましょう。
三軌工業事件(滋賀県労委平成26年12月15日・労判速2239号3頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が、あっせんにおいて、C組合員が組合に加入していることを理由に直接雇用の申込みを行うことに抵抗があると回答を行ったことが、不利益取扱いに当たり、また、本件団体交渉拒否に当たるとして、X組合が救済申立てをした事案である。
【労働委員会の判断】
Y社は労組法上の使用者には当たらない。
【命令のポイント】
1 Y社が労組法7条の「使用者」といえるためには、Y社が、就労に関する諸条件にとどまらず、C組合員の雇用そのもの、すなわち採用、配置、雇用の終了等の一連の雇用の管理に関する決定について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有している必要があると解される。
2 これを本件についてみるに、Y社がC組合員に対し、これら採用、配置、雇用の終了等の一連の雇用の管理に関する決定について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な関与等をしたことを認めるに足りる証拠はない。
3 なお、X組合は、Y社がC組合員に対し、近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者であることを理由として、Y社が労組法7条の「使用者」に当たるとの主張はしておらず、また、それを認めるに足る事情もない。
ときどき登場する労組法上の使用者性に関する争点です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。