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今日は、支払命令不履行に対する損害賠償請求と法人格否認法理適用の有無に関する裁判例を見てみましょう。
プロミックスほか事件(福岡地裁平成26年8月8日・労判1105号78頁)
【事案の概要】
本件は、Xが、Xが勤務していたA社に対して時間外割増賃金等および付加金の支払いを求めて提起した訴訟において、Xの請求を認容する判決(別件判決)がいい渡され、同判決は確定したが、A社が別件判決で支払を命じられた金員を支払わないとして、A社の元の代表取締役およびA社の現在の代表取締役に対し、会社法429条1項に基づき、損害賠償および遅延損害金の連帯支払いを求めるとともに、Y社がA社と同視できると主張して、法人格の否認により、Y社に対し、別件判決において認容された、時間外割増賃金等および付加金の支払いを求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 確かに、Xの指摘するように、Y社とA社は本店所在地が同一であること、それぞれの経営する店舗で同様のデザインの看板やロゴマークを使用していること、新規開店に関するチラシには両会社の店舗の名称及び所在地等が記載されていること、一方の店舗の新規開店について他方の店舗の看板で掲示し、宣伝していること等の事情が存在し、Y社とA社がそれぞれ経営する店舗間の連携・協力関係等があることが窺われる。しかしながら、Y社及びA社の各経営に係る店舗間に連携・協力関係等があるからといって、Y社とA社との法人格が同一であると認めるには足りないというべきであるし、本店所在地の同一性をもって両会社の実質上の同一性を認めることもできない。
・・・他に、Xの主張する法人格の形骸化又は法人格の濫用を認めるに足りる証拠はない。
これだけの事情がそろっていても、法人格は否認されないのです。
法人格とは便利な道具ですね。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。