おはようございます。
今日は、団体交渉の当事者適格に関する命令を見てみましょう。
V社事件(大阪府労委平成26年10月3日・労判1104号91頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が業務上密接な関係にある申立外A社の従業員であった組合員Bの解雇問題を議題とする団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にはあたらない
【命令のポイント】
1 A社とY社は、業務上、密接な関係にあり、Y社がA社に一定の影響力を及ぼし得るとしても、B組合員は、原則として、A社の役員及び従業員から業務上の指示を受けてA社の業務に従事しており、また、A社がB組合員の雇用の可否を含む労働条件を主体的に決定していたというのが相当であって、Y社が、B組合員の基本的な労働条件について、雇用主と同視できる程度に具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼし得る地位にあったとまではいうことはできない。
したがって、Y社は、B組合員の労働組合法上の使用者には当たらず、本件申立ては、その余のことを判断するまでもなく、棄却する。
労組法上の使用者性が争点となっていますが、否定されました。
「雇用主と同視できる程度に具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼし得る地位」を認めてもらうには高いハードルを越えなければなりません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。