Daily Archives: 2015年2月25日

不当労働行為103(リコー(出向)事件)

おはようございます。

今日は、代理人弁護士を交渉担当者とする団交でなければ応じられないとする会社の対応と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

リコー(出向)事件(中労委平成26年10月15日・労判1101号173頁)

【事案の概要】

本件は、X組合が、平成25年、Y社に対し、当時会社からB社へ出向していたA組合員の復帰等を交渉事項とする団交を申し入れたところ、Y社がこれを無視し、回答しなかったことは不当労働行為に該当する旨主張し、大阪府労委に対し救済を申し立てた事案である。

【労働委員会の判断】

代理人弁護士を交渉担当者とする団交でなければ応じられないとした会社の対応は不当労働行為には該当しない

【命令のポイント】

1 代理人による再三にわたる説得にもかかわらず、4.18団交後も、代理人を団交における窓口及び交渉担当者として認めないという従前と同様の主張に固執し、これを譲る姿勢を全くみせない組合の態度に照らせば、本件団交申入れ当時、このまま交渉担当者の問題について解決せずに組合との間で団交を行っても、4.18団交と同様、組合が弁護士を会社側交渉担当者として認めないという自己の見解に固執し、交渉事項について実質的な交渉をすることができない可能性が高かったということができる。

2 代理人による5.10回答は、こうした状況の下で行われたものであり、その回答内容も考慮すると、その趣旨は、弁護士が交渉担当者として出席することを認めないという組合の主張には応じられないとしつつも、4.18団交と同様の事態が生ずるのを回避し、正常な団交を行うべく、本件団交申入れを応諾する前提として、本来労使間で合意の上取り決めるべき団交ルールの一つである交渉担当者の問題についてあっせん手続において話し合い、交渉担当者の問題が解決した後に団交を行うことを提案したものと解するのが相当であり、これをもって団交を拒否したものと認めることはできない

3 したがって、本件団交申入れに対するY社の対応は、正当な理由のない団交拒否であるとは認められず、労組法7条2号の不当労働行為には該当しない。

団体交渉の場に弁護士が代理人として参加することはよくあることです。

代理人弁護士が交渉担当者となることを組合が拒否した場合には、是非、この事案を参考にしてください。