不当労働行為99(ゼンショーホールディングスほか1社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、労組法上の使用者性に関する命令を見てみましょう。

ゼンショーホールディングほか1社事件(神奈川県労委平成26年8月7日・労判1097号91頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、①組合員である派遣社員であるAら3名の労働問題についての団交要求に対し、業務多忙を理由として回答を延期したこと、②Aら3名と雇用関係にないことおよび申立外D社との労働者派遣契約終了を理由に団交を拒否したことは、不当労働行為であるとして、救済を申し立てた。

【労働委員会の判断】

Y社は労組法上の使用者にはあたらない
→∴不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 以上に述べたように、Y社は、希望者全員を無条件に直接雇用したのではなく、直接雇用の際に唯一「住居を自分で確保する」という合理的な条件を付けており、その条件を満たさなかったり就労可能でなかったAら3名とY社との間に、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が現実的かつ具体的に存在していたとはいえず、Y社の使用者性は認められない

2 組合は、Y社が団体交渉応諾義務があるにもかかわらず、正当な理由なく団体交渉の開催を拒否し、組合が法適合組合であることを知っていたにもかかわらず様々な主張を繰り返し行い、組合との団体交渉開催を意図的に引き延ばして拒否し、組合と組合員との信頼関係を弱め、団結を弱めたり破壊しているので、このような長期にわたるY社の団体交渉拒否は労組法7条2号及び3号に該当する不当労働行為であると主張するが、上記のとおり、Y社は、Aら3名との関係において労組法7条の使用者に当たるとはいえないので、団体交渉応諾義務はなく、支配介入にも当たらない。

組合としては、上記2の点について実質的な判断をしてもらいたかったところですが、労組法上の使用者性が否定されてしまったため、このような結果になりました。

労組法上の使用者性に関してはこれまでにも重要な判断が出されていますので、参考にしてください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。