おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、団交拒否、不誠実団交に関する命令を見てみましょう。
詫間港運事件(香川県労委平成26年2月10日・労判1088号95頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が、会社の従業員で組合に加入している組合員に対し、仕事の配分差別を行ったこと、会社の代表者であるY1代表取締役が、組合との団交を欠席したことなどが不当労働行為であるとして救済を申し立てた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は、Y1社長の身体の安全が確保できない状態であり、警察の助言を得たことを理由として団体交渉に応じないことの正当性を主張する。・・・仮に、単独で出席すれば身体の危険を及ぼす可能性がある場合にはI顧問や代理人弁護士と共に団体交渉に臨めばよいはずであるから、Y社の主張には合理的な理由がなく、Y社は意図的に団体交渉を拒否したものと判断される。
2 Y1社長が、真意に反して意図的に事業閉鎖を示唆する発言をすることにより、組合に不安を生じさせて団体交渉を有利に進めようとしたものと推測されるのであり、不誠実団交であったと判断される。
3 Y社は、平成23年3月頃から大口取引先の不祥事の影響で業務量総体が相当程度減少していたことが窺われるものの、業務遂行に必要とされる職務上の資格や能力に関して組合員とその他の従業員との間で仕事の配分について差別をしなければならないような特段の理由が存在しなかった。
それにもかかわらず、実際には組合員とその他の従業員に対し会社が配分した業務量には大きな較差があり、その他の従業員に対しては原則的に休業の割り当てが行われず、また、休業が開始された後に組合を脱退した者に対しては、脱退後は仕事が配分されるなど明らかに組合員差別をする事態が生じており、他方では組合員は会社から休業を余儀なくさせられ賃金が減少するという不利益を受けた。
よって、以上のとおり、当委員会は、組合員に対する仕事の配分差別及びその結果として賃金差別があったものと認定し、労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するものと判断する。
上記命令のポイント1及び2は、参考にしてください。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。