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さて、今日は、期間の定めのある看護助手の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。
国立がん研究センター事件(東京地裁平成26年4月11日・労経速2212号22頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結していたXが、Y社が行った、雇用契約を更新しない旨の意思表示の効力を争い、Y社に対し、①労働契約上の地位確認、②上記雇用契約の期間満了日の翌日から判決確定の日までの賃金の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 まず、XがY社に雇用されてからの再雇用の回数が1回、勤続年数が2年間にとどまることからすれば、本件雇用契約が、期間の定めのない契約と実質的に異ならない程度のものであったと認めるには足りない。
2 また、看護助手の業務及び勤務時間が週31時間と短時間に設定され、昇給等の制度がないという常勤職員との条件面の差に照らせば、Y社は、看護助手については、その業務内容が広く一般の者に代替可能なものであることを前提に、看護助手の確保は専ら非常勤職員の雇用として行うべきであるとし、その方針を全うするため、任期は1年間とし、再度の雇用を前提としていない旨、看護助手らに対して明示的に説明をしてきたということができる。こうした状況下においては、Xが、任期満了後の雇用契約の継続(再雇用)を期待することに合理的な理由があるということはできないと言わざるを得ない。
3 Xは、Y社の非常勤職員就業規則では、非常勤職員は1年間で必ず退職するとは定められておらず、再び採用されることがある旨規定されていることをもって、雇用契約の更新が繰り返されることを期待していた旨主張する。しかし、非常勤職員を再度雇用することがあるとしても、その際に行われる任用審査が形式的なものではなかったことを踏まえると、上記期待に合理的な理由が認められるとまではいえない。
4 以上のとおり、本件雇用契約について、期間の定めのない契約と実質的に異ならないともいえず、任期満了後の雇用契約の継続(再雇用)を期待することが合理的であるともいえないのであるから、本件雇止めには、解雇権濫用法理を類推適用する余地はない。
本件は、上記判例のポイント2のとおり、非常勤職員と常勤職員との間で業務内容や労働条件の差が明確であったため、両者を同一視されずにすみました。
逆に言うと、両者の差が形式的なものにすぎない場合には、当然、結論は異なり得ます。
参考にしてください。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。