おはようございます。
さて、今日は、分会長の通信費の削減、夏季一時金を前年度夏季一時金と同額支給したことと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
学校法人住吉清水学園事件(大阪府労委平成26年4月28日・労判1092号157頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が、労働組合の組合員Xについて、①賃金の一部である通信費につき、組合が団交において協議を求めていたにもかかわらず、団交を経ないまま一方的に削減したこと、➁夏季一時金につき、組合の要求に対し回答のないまま、一方的に最高額の半額しか支給しなかったことなどが、不当労働行為であるとして申し立てられた事案である。
【労働委員会の判断】
いずれも不当労働行為とはいえない。
【命令のポイント】
1 Y社が、X分会長個人に対しては、通知書で、今後は業務上の連絡手段としてX分会長の携帯電話を使用しない以上通信費の不支給は当然のことと考える旨通知し、組合に対しては、団交で、今後は業務用の携帯電話を貸与する方向で検討中である旨述べ、個人の携帯電話を使用しなければ通信費はゼロである旨述べていることが認められ、また、平成23年4月1日以降、Y社が園児送迎のためスクールバスに乗務する教諭に対し携帯電話を貸与していることが認められる。このことからすると、Y社は、X分会長及び組合に対し、平成23年4月25日支給分以降の給与について、X分会長に通信費を支給しなくなる理由を事前に説明していたということができる。
以上のとおりであるから、Y社がX分会長に対し通信費を支給しなくなったことは、組合活動を行ったが故の不利益取扱いに当たるとはいえず、この点に係る申立ては棄却する。
2 平成23年度夏季一時金について、月額基本給の1.1か月分に相当する額の支給を受けた運転士がX分会長のほかに1名いたことが認められ、その運転士の勤続年数及び他の運転士の同一時金の前年度からの増減状況についての疎明はないが、同一時金の支給額が月額基本給の1.1か月分であった運転士には、組合員でない者も存在したとみることができる。
以上のことからすると、Y社がX分会長の平成23年度夏季一時金を月額給与の1.1か月分としたことは、組合活動を行ったが故の不利益取扱いに当たるとはいえず、この点に係る申立ては棄却する。
上記命令のポイント2の視点は押さえておきましょう。
このような事実を主張し、疎明できれば、特に組合員だから不利益に取り扱ったわけではないことを裏付けることができます。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。