おはようございます。今週も一週間お疲れ様でした。
さて、今日は、交通事故を起こし、交通違反を犯した組合副委員長兼分会長に対する出勤停止処分および自主退職勧告と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
東京コンドルタクシー事件(中労委平成26年3月19日・労判1090号92頁)
【事案の概要】
Xは、平成22年8月、自転車との衝突事故を起こし、同年3月、通行禁止違反を犯した。同月25日、Y社は、Xに対して出勤停止処分および自主退職勧告を行った。
また、平成22年7月、Y社はXに対して同年8月15日をもって再雇用契約が期間満了となるが、Y社は契約を更新する予定がないと通知した。
【労働委員会の判断】
出勤停止処分及び自主退職勧告は不当労働行為にあたらない。
雇止めも不当労働行為にあたらない。
【命令のポイント】
1 Xは、定年前5年間で7回の交通事故と4回の交通違反を犯し、再雇用に当たって交通事故・違反等を起こした場合は退職を含む厳しい措置をとる旨の特記事項が付されていたにもかかわらず、再雇用されてから約6か月後に本件事故を起こし、その約3週間後には本件違反を犯したというのであるから、これに対し、2乗務の出勤停止処分と自主退職勧告を内容とする本件措置をしたとしても、他の事例と比べて重く、均衡を欠くものであると直ちにいうことはできない。
2 Y社が分会長であるXの組合活動を嫌悪し、本件事故及び本件違反を奇貨として、Xを自主退職に追い込み、組合らを弱体化させる意図をもって本件措置をしたとみるには合理的な疑いが残る一方で、相当多数の事故歴等があるにもかかわらず再雇用された後に本件事故及び本件違反を犯すに至ったという経緯や、本件事故及び本件違反を理由として本件措置をしたものとみる余地も十分あり得ることからすれば、本件措置が労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるものと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
不当労働行為特有の考え方というものではなく、当該行為の合理性が認められれば、不当労働行為にはあたらないと判断してもらえます。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。