解雇150(トラベルイン事件)

おはようございます。

さて、今日は、「業務の向上の見込みがない」ことを理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

トラベルイン事件(東京地裁平成25年12月17日・労判1091号93頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、契約期間中の解雇は無効であるとして、地位確認と平成25年1月支給分の賃金不足分として10万5600円の支払いならびに同年2月支給分以降の毎月の賃金として平均賃金と主張する21万円および遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社は、Xの勤務態度等について前記のとおり主張するところ、受電回数や離席モードに入る回数を問題としているが、受電回数の下限や離席モードの上限を明確に決めての指導はしていない。また、重大なミスを犯したというが、Xから始末書も徴求していない。このように、Xに対して、同様のことを繰り返せば、解雇に至ることもあり得るという自覚を持たせる指導も、改善のための明確な措置もされない状況の下では、Xの勤務態度等がY社主張のとおり芳しくなったとしても、これをもって、Xに期間中の解雇を正当化するほどの重大な非違行為があったとはいえず、本件解雇に「やむを得ない事由」があったとは認められない

2 Xは、更新の合理的期待が存在したことについて主張立証しないので、本件雇用契約は、期間満了日である平成25年3月20日で終了したとみるほかない。

期間途中の解雇は、「やむを得ない事由」がなければ無効となります。

一般の解雇に比べてさらにハードルが高いわけです。

上記判例のポイント1のとおり、勤務態度に問題がある場合には、改善のために指導・教育をしたことを裁判上で立証できる準備をしておくことが重要です。

なお、原告は、期間満了後も更新されることについての合理的期待の存在を主張立証していなかったようです…。

裁判所も特にその点についてヒントを出してくれなったようですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。