Monthly Archives: 7月 2014

賃金81(TBCグループ事件)

おはようございます。

さて、今日は、適格性欠如を理由とする降格・手当等減額の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

TBCグループ事件(東京地裁平成25年8月13日・労判1087号68頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の総務部長および関東地区の営業部を統括するゼネラル・マネージャーを兼務していたXが、Y社からゼネラル・マネージャーの職を解かれたうえ、出向を命じられ、その後も他社へ異動を命じられ、同時に部長職から課長Ⅱ職に降格され、さらに係長Ⅰに降格されたことに伴い、役職手当および職務給、調整手当を減額されたことに対して、これらの減額は無効であり、賞与算定に際して行われた人事評価が違法であって不法行為に当たると主張して、Y社に対して、支給されるべき給与および賞与との差額合計1318万3500円ならびに退職日まで6%の遅延損害金合計73万2091円および退職後から支払済みまで14.6%による遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

降格処分は無効
→降格処分に伴う役職手当および職務給の減額も無効

調整手当の減額も無効

→1106万2000円+確定遅延損害金59万8514円+遅延損害金の支払いを命じた

賞与請求は棄却

【判例のポイント】

1 ・・・以上のとおり、Xに対する降格処分についてのY社の主張は前提を欠くものである。なお、Y社は、Xが総務部長として適性を欠くことについて、プローブ取引の責任について以外具体的に主張しないし、なぜ複数回の降格が必要であったかについても主張しない。なお、Y社は、XがY社の利益を犠牲にしてC社の利益を図ったのではないかという疑念を抱いているとも主張するが、XがC社の利益を図った事実を具体的に主張・立証しておらず、上記のような疑念だけでXが総務部長としての適性を欠いていたということはできない
したがって、降格処分は無効であり、降格に伴う役職手当及び職務給の減額も無効である。

2 調整手当は、給与規程上、「経済状況の変動、給与体系の変更等、調整が必要と認められた場合に暫定的に支給する」とされており、兼務の手当とはされていないこと、Xは、平成19年2月にゼネラル・マネージャーを解任された後も、3年以上調整手当の支給を受けてきており、兼務と調整手当との対応関係を見いだすのは困難であることに照らすと、調整手当は兼務の対価とは認められない
Y社は、給与管理の不備からXに調整手当を支給していることが見逃されてきたと主張するが、Y社自身が年2回の賞与の査定の際に幹部社員の賞与を厳格に査定していると主張しているにもかかわらず、その査定の際に、本給があるべき給与額より20万円以上かさ上げされていたことに気付かされなかったというのは不自然であり、Y社の主張は採用できない。

全体的に使用者側の主張・立証は具体性・整合性に欠けると評価されているように感じます。

「適性を欠く」との理由で解雇や降格をする場合には、客観的にわかりやすい証拠を会社側で準備しておかなければ、このような結果になります。 ご注意ください。

1000万円を超える支払を命じられていますので、会社としては厳しい結果ですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介341 一瞬で自分を変える言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
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←先日、事務所のすぐ近くにある「Soloio」に行ってきました。

写真は、「スカンピの香草焼き」です。

えびの味がしっかりしていて、ワインにとてもよく合います。 おいしゅうございました。

今日は、午前中は、不動産関係の裁判が1件入っています。

午後は、不動産関係の裁判(証人尋問)が1件、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
一瞬で自分を変える言葉  アンソニー・ロビンズ名言集 (角川フォレスタ)

有名なアンソニー・ロビンズの名言集です。

この世界では超有名人です。

率直にいい本だと思います。

彼の言葉からはパワーをもらうことができるのがいいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

目標達成するための行動に全力を注げ。それ以外の可能性は切り捨てよ。
・・・決断を変えないためには、退路を立つことだ。ダイエットしようと思ったならば、極端な話、冷蔵庫の中身を全部捨ててしまえばいい。あるいは、周囲の人に「5キロやせるまで飲み会には行かない」と宣言してもいい。決断したこと以外の可能性は、すべて切り捨てる。目標へのプロセスには、いろいろな誘惑もあれば、妥協もある。しかし、目標以外のことは、いっさい無視する。細かい修正はあってもいいが、絶対に守るべきことだけは変えてはならない。」(112~113頁)

もうあまりコメントすることもないくらいに正論ですね。

でも、人間とは基本的には弱いものなので、自分の意志の弱さに負けてしまうのです。

大切なのは、自分は弱いということを認めることです。

何の工夫もしなければ、すぐにあきらめてしまう弱い人間だということを認めることから始める必要があります。

このことを認めた上で、途中であきらめないような工夫をするのです。

一番典型的な追い込み方としては、目標を公言してしまうということです。

「あいつ、口ばっかだよ」と言われないために、どうしても目標を達成せざるを得ない状況に追い込むのです。

また、自分が決めたルールをどれだけ守り通せるか。

それが人生を決めるのだと確信しています。

 

賃金80(X薬局事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は、事実審の口頭弁論終結時までに使用者が未払割増賃金の支払を完了した場合と裁判所が付加金の支払を命ずることの可否に関する最高裁判決を見てみましょう。

X薬局事件(最高裁平成26年3月6日・判タ1400号97頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、本訴として、Xを相手に、Y社に対する未払賃金債務が173万1919円を超えて存在しないことの確認を求め、Xが、反訴として、Y社を相手に、未払賃金の支払等を求めるとともに、労基法37条所定の割増賃金の未払金に係る同法114条の付加金の支払いを求める事案である。

第1審は、Xの反訴に係る未払割増賃金請求につき、173万1919円及び遅延損害金とともに、付加金86万5960円及び遅延損害金を認める判決をした。

Y社は、控訴した上で、控訴審の口頭弁論終結前に、Xに対し、未払割増賃金全額(遅延損害金を含む)を支払、Xはこれを受領した。これを受けて、Xは、上記割増賃金請求に係る訴えを取り下げ、Y社はこれに同意した。

原審は、以上の事実関係の下で、付加金請求につき、上記の限度でこれを認容すべきものとした。

【裁判所の判断】

付加金に関する部分を破棄し、同部分につきY社敗訴部分を取り消す。
→付加金に関するXの請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 労働基準法114条の付加金の支払義務は、使用者が未払割増賃金等を支払わない場合に当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所が付加金の支払を命ずることによって初めて発生するものと解すべきであるから、使用者に同法37条の違反があっても、裁判所がその支払を命ずるまで(訴訟手続上は事実審の口頭弁論終結時まで)に使用者が未払割増賃金の支払を完了しその義務違反の状況が消滅したときには、もはや、裁判所は付加金の支払いを命ずることができなくなると解すべきである(最判昭和35年3月11日、最判昭和51年7月9日参照)。

2 本件においては、原審の口頭弁論終結時の時点で、Y社がXに対し未払割増賃金の支払を完了しその義務違反の状況が消滅したものであるから、もはや、裁判所は、Y社に対し、上記未払割増賃金に係る付加金の支払を命ずることができないというべきである。

上記判例のポイント1を知らなかった使用者側のみなさんは、是非、覚えておきましょう。

一審で敗訴し、付加金の支払を命じられた場合には、控訴し、控訴審の口頭弁論終結時までに未払賃金を全額支払えば、付加金の支払は免れられます。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介340 オレなら、3秒で売るね!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
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←先日、御幸町にある「BLUE BOOKS cafe」に行ってきました。

写真は、「マッシュルーム&モッツァレラチーズ バーガー」です。

どうやって食べたらいいのかわかりません(笑)

みなさん、どうやって食べているのでしょうか?

ボリューム満点でおいしいので、満足度は高いですね。

今日は、午前中は、島田の裁判所で面会交流の調停が1件、静岡の裁判所で不動産関係の裁判が1件入っています。

午後は、裁判の打合せが1件入っています。

夜は、顧問先会社の社長と打合せです。

今日も一日がんばります。

さて、今日は本の紹介です。
オレなら、3秒で売るね!

著者は、インターネットマーケティングの立役者の一人で、巨富を築き、アメリカからニュージーランドに移住し、悠々自適な生活を送っているそうです。

本の内容も、マーケティングの手法について詳しく書かれています。

タイトルとは異なり、いたって真面目な本です。

とても参考になります。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

断言してもいいが、これを読んでいる奴らの99%は、結局な~んもしない。この本を読んだ知識を、なんも活用しないんだ。」(245頁)

俺が成功しているために最も大切だと思っていることがある。
『これでもか、というくらい執拗で目的に沿った行動』 
あなたの夢を実現してくれる行動は何か(目的に沿っているか)そしてその行動を絶え間なく常にやり続ける(これでもか、という執拗さ)。あなたが今この瞬間からこれをやることができれば、トップ1%に仲間入りできるだろう。」(248頁)

「これでもか、というくらい執拗で目的に沿った行動」

最初はやる気まんまんで始めるのですが、うまくいかない状態が続くと、途中であきらめちゃうんですよね。

だから何をやってもうまくいかない。

あっさりしている人よりもしつこい人の方が、成功する確率は高いような気がします。

周りにしつこい人、いませんか(笑)?

成功するまでやり続けられる人だけが成功するのです。

「もうダメだ」を早く言いすぎです。

有期労働契約47(医療法人清恵会事件)

おはようございます。

さて、今日は、無期転換後の再雇用契約における雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

医療法人清恵会事件(大阪高裁平成25年6月21日・労判1089号56頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社から平成23年3月15日解雇又は雇止めをされたとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認並びに賞与、解雇又は雇止め後の賃金及び不法行為に基づく損害の各支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

その余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 本件再雇用契約は、単に、簡易な採用手続により、1年間の有期雇用契約に基づいて補助的業務を行う従業員を新規に採用するような場合とは全く異なり、30年以上にわたって従来雇用契約に基づいて基幹業務を担当していたXと使用者たるY社との間で、双方の事情から、従来雇用契約を一旦終了させ、引き続き1年毎の有期雇用契約である本件再雇用契約を締結したものであり、加えて、契約更新が行われることを前提とする文言が入った本件再雇用契約書を取り交わしていることからすれば、Xの契約更新への期待は、客観的にみて合理的なものであるといえるから、本件再雇用契約を雇止めにより終了させることは、実質的に解雇と異ならないものと認めるのが相当であり、解雇権濫用法理が類推適用されるというべきである

2 雇止めという行為自体は、期間の定めのある雇用契約を期間満了により終了させ、契約を更新しないということにすぎないから、たとえ解雇権濫用法理の類推適用により当該雇止めが無効とされ、結果として契約更新の効果が生じたとしても、そのことから直ちに当該雇止め自体が不法行為に該当するような違法性を有するものであったと評価されるものではない。また、仮に当該雇止めが不法行為であると判断される場合であっても、当該不法行為により労働者に生じる損害は、雇止め後の賃金を失うことによる経済的損害であるから、当該雇止めが無効と判断され、当該雇止め後の賃金請求権の存在が確定すれば、原則として労働者の損害は填補されることとなる
そうすると、雇止めを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求が認められる場合とは、当該雇止めについて、雇止め後の賃金の支払いによって填補しきれない特段の損害が生じた場合であると解される

上記判例のポイント1に示されているような事情があると、有期雇用であっても、解雇権濫用法理が類推適用されてしまいます。

契約書や更新手続等、事前に変更可能な部分から手を付けることをおすすめします。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介339 あたえる人があたえられる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
あたえる人があたえられる

内容は、タイトルのままです。 物語形式になっていて、読みやすいです。

いろいろな本で「与える」ことの重要性が説かれています。この本も同じですね。

あとはやるかやらないか。 それだけです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

とにかく相手に気を使うこと。相手の利益になるように気を配ること。相手の弱点を守ってあげること。五分五分なんて忘れること。五分五分ではだめなんだ。勝ちを収めるには百パーセントしかない。相手にとってよいことをすることが自分の勝利だと思うこと。相手が叶えたいと思うことをなんとか叶えるように力を尽くすこと。ウィン・ウィンなどということは忘れて、どうすれば相手が勝てるかだけに集中するんだ。」(107頁)

こういうことって、いろんな本に書かれていますよね。

上にも書きましたが、あとはやるかやらないか。

それを続けられるか。

もうそれだけですよね。

話は逸れますが、周りの経営者の方を見ていて思うのですが、うまく行っている会社の経営者は、ほんと与えています。

「うまく行っているから与えられるんだよ」という見方もできると思いますが、そんなことはどっちだっていいです。

与えまくっている経営者のところには、いろんなモノが集まってきますね。

プラスのスパイラル状態です。

側で見ていて、本当に気持ちがいいですね。

解雇146(大阪運輸振興(解雇)事件)

おはようございます。

さて、今日は、「事業上の都合」を理由とする解雇の有効性と反訴立替金請求に関する裁判例を見てみましょう。

大阪運輸振興(解雇)事件(大阪地裁平成25年11月15日・労判1089号91頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であるXが、Y社から解雇されたが、当該解雇は無効であるとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および解雇後の賃金の支払いを求めた事案、ならびに、Y社が、Xを解雇したことにより、社会保険料の従業員負担分の一部を賃金から控除することができなかったため、Y社がXに代わって従業員負担分も支払ったとして、当該立替金の返還を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

立替金請求は棄却

【判例のポイント】

1 本件雇用契約に職種限定の合意があったとは認められず、また、Xの勤務態度に問題がなかったことは当事者間に争いがないから、本件解雇は、いわゆる整理解雇に当たるというべきであり、本件解雇が有効か否かは、①人員削減の必要性、②解雇回避努力の有無、③人選の合理性及び④手続の相当性を総合して判断すべきである。そして、本件解雇が有効といえるためには、Y社において、少なくとも、人員削減の必要があること、解雇回避努力を尽くしたこと及び解雇者の人選が合理的であったことを主張・立証する必要があると解される。

2 この点、確かに、本件解雇は、A駅B操車場における操車場業務の廃止に伴うものであり、Y社は、Xに対し、自動車運転手、路線施設維持管理業務、自動車倉庫業務又は車両手入業務の4つの業務への配転を打診し、Xは、持病により自動車の運転ができないことを理由に自動車運転手、路線施設管理業務及び車両手入業務への配転は不可能であると回答していることは認められる。しかし、それ以外の事務職等への配転の可否等の解雇回避努力の有無、人選の合理性については、Y社代表者が、抽象的に事務職に馴染まないと判断した、事務職も定数を満たしているなどと供述するに止まっており、Xについて、他に従事しうる業務がなかったことを具体的、客観的に裏付ける証拠は提出されていないところ、Y社は、本件解雇に整理解雇法理の適用はないとして、これらの点について主張・立証しない態度を明らかにしている。
以上のように、Y社が、本件解雇の有効性を基礎付ける評価根拠事実について主張・立証しない以上、本件解雇は無効であるといわざるを得ない。

3 なお、Y社は、本件雇用契約について職種限定の合意がないとすれば、Xが配転を拒否したことになると主張するが、Y社は、あくまで上記の4つの業務への配転を打診したに止まっており、Y社が配転を命じ、Xがこれを拒否したとまではいえないから(なお、自動車倉庫業務については、期間の定めのない雇用契約から期間雇用への契約変更の打診であって、配転命令には当たらないというべきである。)、この点に関するY社の主張も採用できない。

整理解雇のハードルの高さがよくわかりますね。

特に、使用者側としては、上記判例のポイント2は注意が必要です。

職種に関する抽象的な「向き・不向き」を根拠に配転の機会を与えないことは避けなければなりません。

現実には、かなり厳しいとは思いますが。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介338 外資で結果を出せる人 出せない人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!
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←先週末の早朝は、海ではなく、山へ行ってきました。 2時間ちょっと歩きました。

早朝は、空気もきれいで、気持ちがいいですね。

継続は力なり。

今日は、午前中は、新規相談が2件入っています。

午後は、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。
外資で結果を出せる人 出せない人

外資で結果を出してきた著者が、成功するビジネスマンの特徴を語っています。

読んでいると、別に外資じゃなくても、こういう人はどこだって成功するよね、と感じます(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

リーダーに選ばれた人の一番重要な仕事が意思決定だとすれば、その人は本当に努力しなければなりません。より良い意思決定をするための情報をあらゆる手段で収集し、分析して、引き出せるデータベースとして蓄積しておくことが必要でしょう。世界中の経済状況、業界全体の流れ、自社の経営会議での決定、競合他社の動き、販売取引先企業の皆さんからのフィードバック、お客様の生の声、最近であればインターネット上の評価やブログなど、「人・物・金・情報」に関してどんなデータベースを構築できているかが勝負となることでしょう。」(84~85頁)

「人・物・金・情報」に関して、いかなるデータベースを構築しているか。

ビジネスをしていくために必要不可欠な要素であることは言うまでもありません。

これらのデータベースは一朝一夕に構築できるはずもなく、個々人の信頼のもとに成り立っているものです。

信頼される人のまわりには、信頼できる人が集まります。

そういう人のところには、情報がどんどん集まってきます。

信頼できる人とつながりたい、有益な情報をもっと入手したいと考える場合、まずすべきは自分自身が周りから信頼される人になること、有益な情報を周りの人に提供することから始める必要があります。

そのために、日々、どのように生活すべきか。

日々の行動が自信につながり、結果として他者の信頼につながるのではないでしょうか。

ほしがってばかりで、やることをやらない。 それでは、いつまでたってもほしいものは手に入りません。

セクハラ・パワハラ7(ホンダカーズA株式会社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、元従業員による未払賃金・損害賠償請求(パワハラ)に関する裁判例を見てみましょう。

ホンダカーズA株式会社事件(大阪地裁平成25年12月10日・労判1089号82頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対し、未払賃金(アドバイス奨励金)、労基法37条所定の時間外割増賃金、深夜割増賃金及び同法114条に基づく付加金を請求するとともに、先輩従業員から業務指導に名を借りた暴言、暴行等のパワーハラスメントを受けたと主張して、Y社に対し、民法715条又は労働契約上の安全配慮義務違反に基づき慰謝料の支払いを請求する事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社はXに対し、割増賃金113万4799円及び付加金59万7208円の支払え。

2 その余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本訴で請求するアドバイス奨励金の対象となるアドバイスや作業を具体的に特定することなく、Xが作成した平成21年1月~22年12月分の「月度アドバイス」に作業実施日が記載されたアドバイス内容の項目数に単価を乗じた金額と、毎月の給与明細から把握できる実際の奨励金支給額との差額を通算して請求しているが、これをもって「月度アドバイス」記載の各項目が奨励金の支給要件を満たしているとの主張立証がなされているとはいえない。

2 Xの割増賃金計算の基礎となる賃金は、基本給、皆勤手当、資格手当、ファイトマネー及びアドバイス奨励金であること、このうちファイトマネー及びアドバイス奨励金は、一種の出来高払制の賃金として、労働基準法施行規則19条1項6号に基づき割増賃金を算定すべきであること、割増賃金算定の前提となる平成21年及び平成22年の1年間における1月平均所定労働時間は、各170.5時間であることが認められる。

3 Xのパワーハラスメントに関する主張には、X本人の供述や陳述書等の記載以外の裏付けがない。加えて、Xは、自らY社代表者宛に文書を提出し、それを契機として直接対話する機会を得た経験を有しながら、それ以降、Dの粗暴な言動に苦しめられている旨の文書は、退職に至るまで一度も提出した形跡が窺われないことX側申請証人であるB工場長も、Xに対し職場でいじめが行われていたとの認識はなく、Xに対する粗暴な言動について見聞きしたところもないことに鑑みれば、Xの供述は総じて信用することができない。
よって、X主張のパワーハラスメントについては、その事実を認めるに足りる証拠がなく、また、認められる事実関係を前提にしても、およそXに対する不法行為や安全配慮義務違反を構成するとは認め難い。

特に上記判例のポイント3は、パワハラ事案の難しさが出ていますね。

客観的な証拠をそろえるのは本当に大変です。

ましてや、原告が申請した証人が職場でいじめが行われていたとの認識がなく、原告に対する粗暴な言動を見聞きしていないと証言するのでは・・・。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介337 やりたくないことはやらずに働き続ける武器の作り方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

やりたくないことはやらずに働き続ける武器の作り方 だれでも人生を複線化できるお金と時間の仕組み

午堂さんの本です。

久しぶりに買ってみました。

著者から学ぶべきは、あらゆることをお金を生み出す機会に変えてしまう発想です。

自身のビジネス立ち上げの様子や経過などを本にする、何かを学ぶながらお金をもらう、という発想は見習うべきですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・しかし、経営者の最も重要な役割は、まずは稼ぐことだ。どんなに立派なことを言っても、稼げなければ給料を払えない。そんな社長について来てくれる人はまれだろう。最初はビジョンに共感して参画してもらったとしても、お金が稼げない状態が続けば、ほとんどの人は離れていくものだ。お金に困っている状態であれば、心に余裕がないから、ミッションやクレドなど空虚に映る。だから、四の五の言わずに稼ぐことを最優先しよう、というのが私の考え方だ。」(131頁)

賛否が分かれるところだと思いますが、私は賛成です。

朝礼でクレドの読み上げをすることに反対するつもりはありません。 うちではやりませんが(笑)

どれだけ崇高なミッションを掲げていても、給料を十分に支払ってくれない会社にとどまってくれる従業員がどれほどいるでしょうか。

従業員の生活を守るためにも、経営者は、企業経営の目的である「稼ぐ」ことを最優先すべきだと考えます。