←事務所のクリアファイル第4弾が完成しました。
今回は、栗坊ではなく、くり子ちゃんのクリアファイルです。
さて、今日は、期間雇用のカウンセラーの解雇は無効だが雇止めは有効とされた裁判例を見てみましょう。
X学園事件(さいたま地裁平成26年4月22日・労経速2209号15頁)
【事案の概要】
本件は、平成3年4月1日に契約期間を1年と定めてY社と雇用契約を締結したXが、平成23年8月29日にY社が行った解雇は無効であり、その後のY社による雇止めには合理的な理由がないとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに平成24年4月支給分以降の賃金及び賞与の支払いを求めている事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 有期労働契約は、期間中は当事者双方が雇用を継続しなければならないという点で、雇用の存続期間を相互に一定期間保障し合う意義があることに照らせば、労働契約法17条1項にいう「やむを得ない事由」は、期間の定めのない労働契約の解雇において必要とされる「客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる事由」よりも厳格に解すべきであり、その契約期間は雇用するという約束があるにもかかわらず、期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了させざるを得ないような特別の重大な事由と解すべきである。しかるところ、業務日誌の不提出については、これにより健康相談センターの学生相談部門による総合的な学生支援業務の遂行に支障が生じたか否かは証拠上判然としないこと、執務場所の変更については、1か月強遅れたものの実現していること、アンケートについては、実施日数は3日で、回収枚数は10枚に満たないことに鑑みれば、これらのXの行為が平成24年3月末日の本件雇用契約の契約期間満了を待つことなく平成23年8月29日に直ちにXの従業員としての地位を喪失させざるを得ないような特別の重大な事由に当たるとすることには躊躇せざるを得ない。
したがって、本件解雇は、上記各行為によりXが兼務教職員就業規則6条2号(勤務実績が著しく不良と認められるとき)に該当するか否かを問うまでもなく、無効であるというべきである。
2 ・・・雇用継続に対するXの期待利益には合理性が認められるというべきであり、したがって、解雇権濫用法理を類推適用し、雇止めには合理的な理由が必要であるというべきである。
そこで、合理的な理由の有無について検討するに、Xの業務日誌の不提出及び執務場所の変更の遅れは、いずれもY社の業務命令に違背するものであり、また、アンケートの実施は、Y社の就業規則19条(職場内規律)に触れるものであって、その態様等に照らし、Y社が本件雇用契約を更新しなかったことには客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる。
期間途中での解雇が雇止めに比べてハードルが高いことがよくわかる事案ですね。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。