おはようございます。 7月も終わりですね。早いですね。
さて、今日は、私用電話・メール、上司に対する反抗的態度等を理由とする店舗の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。
F社事件(大阪地裁堺支部平成26年3月25日・労経速2209号21頁)
【事案の概要】
Xは、Y社に雇用期間1年の嘱託社員として雇用されていたところ、Y社から雇用契約の更新を拒絶されたため、その雇止めには解雇権濫用法理が準用され、かつ、その雇止めは、Y社が、Xの所属する労働組合及び執行委員長であるXを嫌悪し、同組合の弱体化を図るという不当な目的でしたものであり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないから、解雇権を濫用した無効なものであると主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、雇止め後の平成25年から判決確定の日まで、賃金25万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
→雇止めは有効
【判例のポイント】
1 本件雇用契約は、契約期間を3か月間、9か月間と明確に定めて更新され、3回目以降の更新は、一貫して契約期間を1年間と明確に定めて更新されている。また、契約の更新手続の態様からすれば、嘱託社員としての雇用契約については、一般に、毎年、契約期間が明記された契約書が嘱託社員に送付され、当該嘱託社員がこれに署名押印して返送する手続が繰り返されており、Xの場合も同様であると推認される。 これらの事情に照らすと、本件雇用契約が期間の定めのない労働契約に転化したものであるとか、更新を重ねることによりあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたということはできない。
2 しかしながら、Xにおいて、本件雇用契約が継続すると期待することに合理性が認められる場合には、期間満了によって本件雇用契約が当然に終了するものではなく、雇止めには相応の理由を要すると解するのが相当である。 ・・・以上によれば、本件雇止めについては、解雇権濫用法理が類推適用されると解するのが相当である。ただ、雇用契約が期間の定めのない契約に転化したり、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合と比較して、本件雇用契約における雇用継続の期待を保護する必要性は相対的に低いといえるから、本件雇止めの理由としては、それ程強いものが要求されるのではなく、一応の相当性が認められれば足りると解するのが相当である。
3 ・・・以上によれば、本件携帯電話を用いたメール送受信や電話の大半には業務関連性がなく、勤務時間中に送受信されたメールや電話が相当数に上ることも勘案すると、Xは、本件携帯電話の貸与を受けるに際し、遵守事項を確認したにもかかわらず、勤務時間中に私事を行うなどしたと認められる。また、C、D及びEらに対する言動も、業務私事の拒否や無視、上司に対する暴言や反抗的態度等、従業員としての忠実義務に反するものであると認められる。・・・そして、このような非違行為の内容及び程度に加え、XがY社から二度にわたり警告を受けていることなどを踏まえると、不当労働行為目的等の特段の事情がない限り、Xの上記非違行為は、本件雇止めの相当な理由となり得ると解するのが相当である。
使用者側のみなさんは、上記判例のポイント2についての考え方を参考にしてください。
雇用継続に関する合理的期待を保護するケースでは、雇止めに関する判断基準が若干緩くなるようです。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。