解雇144(X庁懲戒免職処分取消請求事件)

おはようございます。

今日は、午前中は、労働事件の裁判が1件、公証人役場で公正証書作成が1件入っています。

午後は、事務所で書面作成です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、公務員に対する酒酔い運転を理由とする懲戒免職処分の取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

X庁懲戒免職処分取消請求事件(東京地裁平成26年2月12日・労経速2207号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y庁の職員であったXが、酒酔い運転を理由として、Y庁長官から平成21年3月2日付けで国家公務員法82条1項1号及び3号に基づく懲戒免職処分を受けたことから、本件処分の違法性を主張してその取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

懲戒免職処分を取り消す

【判例のポイント】

1 本件酒酔い運転が懲戒処分の対象とされるべきことは明らかであり、人事院作成の処分指針によれば、標準的な懲戒処分が免職又は停職とされていること、Y庁において準用されている農水省の処分方針によれば、免職が処分の目安とされ、特に情状酌量すべき場合、その他特に必要と認める場合は、目安の一ランク軽い処分とすることができるとされている。

2 Y庁長官は、免職を相当として本件処分を行ったが、国公法82条1項所定の懲戒処分のうち、免職処分は、職員としての身分を奪うものであり、停職処分以下の懲戒処分とは質的に異なるものであるから、その選択については慎重な検討を要する

3 本件酒酔い運転は、結果的に、走行距離が94メートル程度と短く、人損事故も物損事故も発生させておらず、自動車を農政事務所の駐車場に駐車した後、徒歩で居酒屋2軒とおでん屋を回り、タクシーで宿泊予定場所であるDの部屋のある独身寮に移動しており、駐車した時点においては、飲酒の上で自動車の運転をする意図は全く有していなかったものと推認することができる。加えて、Xは、約23年間にわたり国家公務員として勤務し、その間、勤続20年の表彰を受け、本件処分以外の懲戒処分歴を有していない。また、少なくとも本件酒酔い運転に至るまでの約7年8か月間において、交通違反歴を有していない

4 以上の諸事情を総合考慮すれば、Xを停職ではなく免職とした本件処分は、本件酒酔い運転に対する処分量定として重きに失するというべきであり、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、これを濫用した違法があるものと認めるのが相当である。

相当性判断のところで、救われました。

丁寧に事実を拾い上げ、裁判所に示すことが大切ですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。