おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
←先日、いつもお世話になっている社長にご招待いただき、スタッフ全員でホテルセンチュリー内「ラ フルール」に行ってきました。
現在、スペインフェアをやっており、ハモンセラーノやサルシッチョンなどの生ハムをいただけます。
しょっぱすぎず、何枚でも食べられます。
おいしゅうございました。
今日は、午前中は、不動産に関する裁判が1件、刑事裁判の判決が1件入っています。
午後は、労働事件(弁護団事件)の判決が1件入っています。
今日も一日がんばります!!
さて、今日は、臨床検査技師に対する安全配慮義務違反に関する裁判例を見てみましょう。
医療法人甲会事件(札幌高裁平成25年11月21日・労経速2199号3頁)
【事案の概要】
本件は、Xの遺族がY社に対し、Y社に勤務していたXに対するY社の安全配慮義務違反により、Xが精神疾患を発症した結果、自殺するに至ったと主張して、債務不履行による損害賠償請求権に基づき、合計約9500万円及び遅延損害金の支払いを求める事案である。
なお、函館労基署長は、当該精神疾患は業務上の疾病に該当すると評価した。第一審(札幌地裁平成24年8月29日)は、原告の請求を棄却した。
【裁判所の判断】
Y社に対し、合計約5800万円及び平成22年4月22日から年5%の遅延損害金の支払いを命じた
【判例のポイント】
1 Xは、本件自殺の1か月前に限ってみれば、少なくとも過重負荷の評価において約96時間の時間外労働をしており、加えて、9月初旬から本格的な研修を開始し同月24日から担当を始めた超音波検査による心理的負荷は大きく、10月17日の遅刻及び上司であるCから本件メッセージを受けたこととも相まって、その心理的負荷が過度に蓄積していたと認められるから、Xが従事していた業務は過度であったと評価することができる。
2 長期間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険性のあることは周知の事実であり、うつ病等の精神障害を発症した者に自殺念慮が出現して自殺に至ることは社会通念に照らして異常な出来事とはいえないから、長時間労働等によって労働者が精神障害を発症し自殺に至った場合において、使用者が、長時間労働等の実態を認識し、又は認識し得る限り、使用者の予見可能性に欠けるところはないというべきであって、予見可能性の対象として、うつ病等の精神障害を発症していたことの具体的認識等を要するものではないと解するのが相当である。
3 Y社においては、職員の出退勤時刻を管理するためにタイムカードによる打刻が用いられていた。Y社に代わってXに対し業務上の指導監督を行う権限を有するAは、臨床検査技師であるから超音波検査の習得が困難であることは把握していたし、本件自殺1か月前、おおむねXとほぼ同時に退勤していた。このような事情からすると、Y社は、Xが時間外労働、時間外労働と同視されるべき本件自習をしていたことや、超音波検査についての習得状況などを認識し、あるいは容易に認識し得たと認められる。これらの事実を踏まえると、Y社には、Xが過重な心理的負荷を蓄積することがないように、時間外労働、時間外労働と同視されるべき本件自習時間を削減したり、超音波検査による心理的負荷を軽減するための適切な措置を講じるべき注意義務があったというべきである。ところが、Aは、Xの業務を遅くとも午後8時から午後9時までに終了させるように調整し、Xに対して超音波検査の担当件数を減らすことを打診しただけであり、それ以上に、本件自殺に至るまで、超音波検査の担当件数を減らす、業務終了後は速やかに帰宅するよう指示する、Xが学会に参加する10月17日にはBに出勤させる、Xの超音波検査についての習得状況を踏まえ、「どの部位についていつまでに習得する」といった目標を設定するなど、時間外、時間外労働と同視されるべき本件自習時間を削減したり、超音波検査による心理的負荷を軽減するための具体的、実効的な措置を講ずるのを怠っていた。したがって、Y社は、Xに従事させる業務を定めて管理するに際して、安全配慮義務を怠ったというべきである。
4 Y社は、XのY社での勤務状況だけでなく、自宅での自習、Y社の行事への参加、「第21回市民健康まつり」での検査業務への従事などの勤務時間外の状況も把握できたのであるから、Xの自主的な判断やY社に対する申出を待つまでもなく、Y社においてXの心理的負荷を軽減するための具体的、実効的な措置を講ずるべきであった。Y社が挙げるその他の事情を考慮しても、過失相殺すべき事情を認めることはできない。
会社側にはかなり厳しい判決です。 妥当といえるか判断が分かれるところだと思います。
仕事内容の習得状況が芳しくないときに、従業員が自主的に自習をするまで、会社側としては止めさせなければならないようです。
しかも、打診するだけではなく、速やかに帰宅するように指示しなければならないようです。
労働者側は、是非、この裁判例を有利に使って下さい。
使用者側としては、なんとも言えませんね・・・。