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さて、今日は、組合事務所の退去を議題とする団交に応じなかったことと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。
大阪市(組合事務所退去)事件(大阪府労委平成25年8月28日・労判1080号95頁)
【事案の概要】
平成24年1月30日、大阪市は、市労連、市従、学職労らおよび学給労に対し、各組合が使用している本庁舎地下1階事務室について24年度以降は使用許可を行わない方針であり、同年3月31日までに退去するよう求める文書を交付した。
これに対し、市労連らは、市に対し、事務室退去に関する団交を申し入れたが、市は、団交申入れには応じられないと回答した。
【労働委員会の判断】
不当労働行為に該当する
【命令のポイント】
1 本件申入事項はいずれも、組合らと市との団体的労使関係事項であり、原則として、義務的団交事項に当たる。
2 市は、本件申入事項の主要議題が組合事務所設置に係る本庁舎の目的外使用許可であり、目的外使用許可を与えるか否かは管理運営事項に当たる旨主張する。
確かに、行政財産である本庁舎について目的外使用許可を与えるか否かの判断そのものについては、市が自らの職務、権限として行う事項であって、管理運営事項に該当するものの、本件申入事項は組合事務所に関連する事項全般であって本庁舎の目的外使用許可そのもののみを対象としているとみることはできず、また、組合事務所設置に係る本庁舎の目的外使用許可に関する処理が組合らとの団体的労使関係に影響を及ぼす範囲において、義務的団交事項に当たるとみることができるのであるから、本件申入事項が管理運営事項に当たるため、本件団交申入れに応じる義務がないとする市の主張は採用できない。
3 以上のことからすると、本件申入事項については、行政財産である本庁舎について目的外使用許可を与えるか否かは管理運営事項に該当して団交事項とすることはできないものの、組合らとの団体的労使関係に影響を及ぼす範囲では義務的団交事項に当たるとみるべきであり、市はその影響の及ぶ範囲において本件団交申入れに応じなければならない。
団交の内容の一部に義務的団交事項でないものが含まれている場合であっても、それ以外の内容が義務的団交事項であれば、やはり原則通り、団交に応じなければなりません。
義務的団交事項であるか否かは、広く解釈されますので、ご注意下さい。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。