Daily Archives: 2014年1月15日

労働災害68(なか卯事件)

おはようございます。__

←先日、久しぶりに「エアーフラッシュ」に行ってきました。

写真は、絶品の「牡蠣カレー」です。

リンゴの角切りがカレーに入っているため、牡蠣の生臭さは全くありません。

お見事の一言に尽きます。 おいしゅうございました。

今日は、午前中は、新規相談が1件、裁判の打合せが1件入っています。

午後は、建物明渡しの裁判が1件、その後、清水の会社様での打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は会社の業務と店舗内での脳幹出血死に相当因果関係がないとされた裁判例を見てみましょう。

なか卯事件(名古屋地裁半田支部平成25年9月10日・労経速2192号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXがY社の店舗内において脳幹出血により死亡したことについて、Xの父母ないし兄である原告らが、Y社が亡Xに対する安全配慮義務を怠ったため、亡Xが過重な労働により脳幹出血を発症して死亡したなどと主張して、Y社に対し、債務不履行ないし不法行為に基づき、損害賠償金約8450万円等を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却
→因果関係を否定

【判例のポイント】

1 使用者が従業員に対して勤務時間帯を一定にすることや複数人による勤務体制をとるべき義務については、その法的根拠が明らかでない上、本件においてY社がそのような義務を負うべき特段の事情を認めるに足りる証拠もないから、Y社がXに対して上記各義務を負っていたとは認められない

2 業務による過重な負荷としては、脳血管疾患の発症に近接した時期における異常な出来事や短期間の過重負荷のほか、長期間(発症前おおむね6か月間)にわたる疲労の蓄積による負荷が挙げられ、発症前6か月間における就労態様について、労働時間、勤務の不規則性、拘束時間の長さ、出張の多さ、交替制勤務や深夜勤務の有無・程度、作業環境、精神的緊張を伴う業務か否かなどの諸要素を考慮して、特に過重な身体的・精神的負荷が認められるかという観点から総合的に評価することが相当であるとされている

3 ・・・このような時間外労働時間の程度及び勤務ごとの時間的間隔に照らすと、平成22年3月までに、XがY社の業務のために適切な休養を取得することができず、疲労が蓄積するような状況であったということは困難である。なお、Xに対しては、日をまたぐ勤務の特殊性から法定休日が適切に付与されていないものの、業務の過重性を考慮するに当たって重視すべきであるのは、労働者の疲労等が過度に蓄積するような勤務状況であるか、すなわち、労働者に対して休暇に必要な時間が付与されているかであって、上記のとおり、Xの脳幹出血発症前6か月ないし発症前4か月の各時間外労働時間が短時間であり、勤務時間ごとの間隔も相当程度付与されていたことからすれば、法定休日が適切に付与されていないこと等をもって、Xの勤務状況が疲労等の蓄積を招くようなものということはできない。このことは、医学的知見上、発送前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合には、業務と脳血管疾患の発症との関連性が弱いとされることに照らして、明らかである。

時間外労働時間の「量」だけではなく、勤務時間中の労働の「質」についても検討の対象としています。

極端に時間外労働時間が多いとまで言えない事案では、上記判例のポイント1に記載したような要素を総合的に評価することになります。